先日の「観光立国の正体」の書評。たくさんの方にお読みいただけました。中にはそれで本を買われた方も。自分の本ではないのですが、うれしいです(^o^)
今回私はマーケティング的にリピーター論について書いたのですが、自分の過去の経験から、ダイビング業界でのことをお話ししたいと思います。
ダイビングほどリピーターさんの占める割合の高い業界はありません。そんな中、”リピーターづくり”と”囲い込み”の境界線が業界で問題になったことが何度かありました。レジャー産業、サービス業として参考になるお話になると思いますので、ぜひぜひ自分の商売に置き換えて考えてみてくださいね。
おはようございます!普段は民宿の親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
ダイビングは体験ダイビングというお試し的なやり方もありますが、原則的にはCカード(認定証)を持っていないと継続的にできないレジャーです。では、どうやってCカードを取得する?まずは、どんな感じで業界が成り立っているかを最初に説明します。
ダイビングショップは「都市型ショップ・現地サービス・リゾートショップ」と3つの業態がある
まず、ダイビングをやりたくなったらどうするか。お試しの体験ダイビングではなく、Cカードをとりたくなったり、Cカードを取得した後に続けてダイビングをやりたい場合。直接海に行く方法と(都会に住んでいる人の場合)家の近所でダイビングショップを見つける方法があります。海に行くのでも、沖縄や海外リゾートで休暇ついでにCカードを取得する方法があります。この時利用するのが「リゾートショップ」です。遠方リゾートでなくても伊豆や南紀、日本海等、日本は海に囲まれていますので、本州内で取得することも可能です。この際に利用するのが「現地サービス」です。逆に海はないけど家の近所のダイビングショップでツアーに参加する。これが都市型ショップ。
ちなみに私の営む”香住ダイビングサービス”は日本海に面した「現地サービス」というカテゴリーに属します。
ダイビングビジネスの特性はリピーターを生みやすいこと
ダイビングは呼吸源を器材に頼ったレジャーですので取り扱いを間違えると非常に危険なレジャーです。そのため、最初にCカードを取得したお店に通った方が良い。教えてくれるインストラクターさんが常に一緒であったり、一緒に講習を受けた人やそのお店の常連さんと仲良くなってダイビングを続けやすくなるからです。結果として、自然とリピーターが生まれやすい環境にあります。
私のお店も夏場は体験ダイビングの1度きりのお客様が多いですが、Cカード講習でいらした方は、その後の継続して何度もお越しくださっている方が多いです。また、水中カメラなどを購入し、本格的にダイビングにはまり込んだ方は季節を問わずお越しになられます。最近では当店から独立し、隣町にお店を構えたスタッフのお店がほぼ通年でも対応していくれています。11月下旬の先週末もダイビングのお客様の対応をしていました。
都市型ショップによく聞く「囲い込み」問題
私自身は20代の時、海のない埼玉県に住んでいたので、埼玉にある都市型ダイビングショップでCカードを取得し、その後ダイブマスター(プロダイバー)になるまでそのお店のお世話になりました。
そのお店にいる時には気づかなかったのですが、私自身が「現地サービス」というものをやるようになって、都市型ショップにはいわゆる「囲い込み」的な要素の強いお店があることに気づきました。いえ、ひょっとしたら自分が都市型ショップでお客様、その後プロコースでお手伝いをしていた時からその傾向には気づいていたかもしれません。
わかりやすく言うと普段、行きつけの都市型ショップはあっても
(1)他のダイビングショップや直接現地サービスに行くのを禁止しているお店
(2)他のダイビングショップや直接現地サービスに行くのを禁止していないが、お店で他で潜った時のことを話すのがタブーなお店
(3)他のダイビングショップや直接現地サービスに行くのを禁止していない。むしろ、ある程度のベテランになったら現地サービスに行って「ガイドをつけずにタンクだけで潜ってみなさい」というスタイルを推奨しているお店
の3つに分かれていました。
つまり、都市型ショップでCカードを取得された方が私のお店にお越しになられた時、「現地サービス」である私から見ると、普段(1)~(3)どのカテゴリーのショップに通われているお客様か、話をしているとわかってくるんですね(笑)。
確かにダイビングはその人が安心安全に潜ることができるよう初心者の頃は担当したお店やインストラクターと一緒に潜ってスキルを磨いた方が良いです。でも逆に、ある程度の経験を積んだ後は、誰かに頼ることなく自分で自分の面倒を見ることのできるようにならなければなりません。
中級者以上になれば、自分のCカードを取得した都市型ショップとコミュニティとしての関係は続けて行っても、ダイビングは自らで現地サービスやリゾートショップに出かけていくようになるものです。それをさせないように「囲い込み」をしようとするショップがあるのであれば、それは違います。
都市型ショップでお勧めしないお店の目安として、そこのお店以外でダイビングに行っている人がいるかいないかを見てみる、というのも一つの目安です。
色々な業界に置き換えてみよう
さて、ここからがようやく本題です(笑)。これからは関係性、つながりの経済と言われています。一緒にいて楽しいコミュニティの中でつながっていく。それがダイビングのようなレジャーである場合もあるし、スポーツ、芸能、趣味などのグループ。あるいはビジネス勉強会のグループなど。私の場合、商売のイロハ、マーケティング理論はエクスペリエンスマーケティング(通称エクスマ)の藤村正宏先生の塾でお世話になりました。その後も卒塾生として同じ塾で学んだ多くの仲間とのつながりがあります。心の在り方については福島正伸先生の塾で学び、こちらも卒塾された同期の皆さんとのつながりがあります。どちらもゆるやかなコミュニティを形成されています。
当たり前ですが、どちらも出入り自由、こちらからお願いしてお金を払って入ったのであり、「出ていけ」とか「他には行くな」と言われたことはありません。あくまで入塾も自分の意思で決めましたし、その後の関係を続けていくかは本人の自由です。
でも、もしここで
「うち以外はいかなくていいよ」
と言われたらどう思うか。あるいは今のところそんなことありませんが、他の塾の話をしづらい環境へと変わって行ったらどう思うか。(もちろん、先にあげた2つのコミュニティはそんなことになるなんてこれっぽっちも思っていませんのでこうやって書いています)
もしもあなたがそんなコミュニティに所属しているのであれば、そこ、ヤバいです(笑)。
ダイビング業界の場合、ノウハウを安くして器材の料金にその分を上乗せしているお店が未だあるようです。例えば、Cカード講習を19800円にして器材を100万円ぐらいでの購入を迫る、みたいな。悲しいことに消費者クレームがとても多い業界です。
消費者庁からこんなお達しが以前出たことがあります。
↓↓↓
スクーバダイビングショップにおける料金等の表示の適正化について(消費者庁)
※PDFで開きますのでご注意ください。
そもそも、テキストや申請料だけで原価が1万円以上かかり、海洋講習を含め3日以上かかるカリキュラムが2,3万円で取得できるわけがありません。講習費を安くおさえることでその後に強烈なセールスが来ることは覚悟した方が良いです。逆を言えば、適正価格での講習費をとっているお店を選びましょうということです。
風通しの良いコミュニティを選ぼう
とても大切なこと。つながりの経済の時代、どこかのコミュニティに属していた方が良いです。おそらく誰もが知らないうちにどこかしらのコミュニティに属しています。田舎だと商工会青年部だったり、地域の青年団だったり。商店街のコミュニティだってあるでしょう。もちろん、囲碁や将棋、絵画や踊り、音楽。福祉関係のコミュニティやお子さんがいればPTA関係だってあります。様々なコミュニティでのつながりの中で、大切なのは風通しの良さです。
他との関係性を干渉されていないか。もちろん、大切な友人が変なコミュニティにひっかかっていたら友達としてアドバイスが必要な場合もあるかもしれませんし、あまりにもたくさんのコミュニティに入りぎていたり、特定のコミュニティに固執させられていたらそれは良くないよ、とアドバイスしてあげたくなります。(但し、最終的に決めるのは本人ですけどね)
事業者側としてコミュニティを作ることを検討する場合は、リピーターを作るのと囲い込みをするのは違うということを認識しておくこと。
「うち以外はいかなくていいよ」
は絶対に言わない、言ってはいけない。仮にそうした方が良い人に言ったのであっても、万一その発言が他に漏れた場合、言葉だけが独り歩きして良くないコミュニティだと思われてしまう可能性のあるNGワードです。
ちなみに「コムサポートオフィス」も毎月セミナーを開催したおかげで集って下さるコミュニティになってきたと思います。もちろん、出入り自由。強制はありません。来る者は拒まず去る者は追わず、です。北近畿の皆さん、また集まって一緒にお勉強しましょうね♪
「こんなお題でセミナーしてほしい!」
というリクエストがあれば募集中です!!
コムサポートオフィス代表
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