今ある仕事の47%が将来なくなる。
どんな商売を選べばよいの?
Facebookが落ち目になってきてる。
次のSNSは何が来るの?
細かい心配事はたくさんあります。
でも、未来の急激な変化がどうなるかなんてわかりません。
それぐらい今の時代の変化は速い。
それよりも、今何が起こっていて、その変化が自分たちの商売や生活にどんな影響を与えるか。
それによってどんな考え方を持ち、どう行動していけばよいかを考えておくことが必要だと思います。
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
ちょっとまえに「ライフシフト~100年時代の人生戦略」の書評を書きました。
人生100年時代になった場合に、どんな生活様式になり、何に備え、どう考えて行動してゆけばよいかがよくわかる本でした。
今日はもっと実務的な本の書評です。
書名は「アマゾンエフェクト」!!
これからの商売がどんな風に変わっていくか。
特にAmazonが世の中のビジネスにどんな影響を与えたか?
ひと言でいうと「デジタルシフト」。
世の中がアナログからデジタルへ移行していっている。
それは多くの方がわかっていることだと思います。
Amazonを通して「デジタルシフト」の本質、どんな未来に向かっていくのかのヒントが満載の本でした。
「デジタルシフト」で実現したこと
まず、デジタルシフトで何が実現したのでしょうか。
「制約からの開放」です。
アナログ時代に比べ、「時間・距離・量・方向」の制限を開放しました。
デジタルはいつでも瞬時に、世界中どこでも、無限のコンテンツの中から双方向コミュニケーションによって商品やサービスを受けられる時代になりました。
私自身の商売においても、ネットの普及によってアナログ広告や旅行会社に頼らなくても直接集客できる仕組みを得られるようになりました。
地域柄、阪神地方のお客様がほとんどだったのですが、関西圏以外のお客様にも多くお越しいただけるようになりました。
もっと言えば、今後は外国人観光客にも宿泊して頂けるチャンスがあります。
私だけでなく、ネット普及による制限の開放を実感して頂いている方、業界は多いと思います。
「デジタルシフト」で思考がどう変わるか
この本を読んで最も衝撃的だったこと。
デジタル、すなわちITの普及で人々の思考がどう変わったか。今後、どう変わるか。
現在はネットファースト思考になっています。スマートフォン、SNS、クラウド、Eコマースの普及により、インターネットというインフラがユーザーの利便性や満足度を高めていく時代でした。
今、多くの人がことのこを実感していますよね。
まさに
「お近くのAmazon」「困った時のGoogle先生」。
多くの人が均等にネットの利便性を享受しています。
2010年代はSNSが台頭し、ネットファーストの時代となった。
では、次の時代はどうなるか。
データを活用したレコメンド、AIの普及により、一人一人の顧客に合わせた最高のカスターマーエクスペリエンスを実現していく「カスタマーファースト思考」の時代になる、本書では述べられています。
デジタルシフトが皆を満足させる環境を提供する時代から、異なる個人個人に対し、データとAIの活用によりそれぞれの満足度を上げる時代になるのです。
ネットというインフラが中心の時代から、顧客を中心において、顧客それぞれが求める価値に対応出来てしまう時代になっていくのです。
つまり、これこそが
デジタルシフト=究極の顧客戦略=究極のカスタマーファースト思考
ということです。
「究極の顧客戦略」はLTVで確認できる
このことを、我々小規模零細企業の立場から見た場合、どうなるのか。
大手事業者がどんどんデータとAIを駆使して個々のお客様毎にレコメンドしていきます。
※レコメンドとは
「顧客の嗜好を分析、それにそって各ユーザーが興味・関心がありそうな情報を予測し判断、その結果を個別のユーザーに提供するサービス」
私たちはそんな予算はかけられません。
AIの導入やビッグデータの活用なんて夢のまた夢です。
そんな中、興味深い文章に目が留まりました。
日本の小売業では、売上の増減を判断するとき、1店舗・1日あたりの「客単価×客数」を尺度とします。(略)一方、アマゾンは収益について、「ライフタイムバリュー×アクティブユーザー数」でとらえるのです。
※P76 アマゾンの方程式は「ライフタイムバリュー×アクティブユーザー数」より
これはどういうことか。
ライフタイムバリューとは「顧客生涯価値」と訳されます。1人の顧客が取引を始めてから終わるまでの期間で、企業に対してどれだけの利益をもたらしたか、を算出したものです。
平たく言うと、何度も長く買いに来て下さるお客様がどれだけいるかということ。
「客単価×客数」ではなく「生涯顧客の数」にこだわる。
何度も来てくれるお客様を増やすということです。
そうですよね。
気がつくとAmazon、使っちゃってますよね。
他に選択肢がないかのように当たり前に利用してしまう存在です。
同じように自分のお店、宿を繰り返し利用して下さるお客様をどれだけ増やせるか。
言い換えると、一度来ていただいたお客様をリピーター、常連さんにすることができるか、ということです。
あらゆるお客様の満足度をお客様ごとに高めれば、お客様のライフタイムバリューは高まりますよね。
データーやAIを活用して臨機応変にやっていくことは出来ませんが、私たち小規模零細事業者にとってこれまで当たり前にしてきていた「常連さんをとことん大切にする」という行動をこれまで通り行えばよいのではないでしょうか。
私たち中小零細事業者は 「究極のカスタマーファースト思考」をどう迎えるか?
この本は大企業のサラリーマン向けに書かれたものですが、小売業が今度どうなっていくかが示唆されている必読の本です。
カスタマーファースト思考の「デジタルシフト」が間もなく起こる。
その波に乗れない大企業はどんどん淘汰されてくるでしょう。
では、我々のような中小零細事業者はどうなるか。
正直、その視点ではほとんど書かれていませんが、私はむしろ、ビッグデータやAIに振り回されない中小零細事業者ならではのやり方があると感じました。
これまで通り、狭く深いつながりを大切にしていけばよいのではないでしょうか。
逆を言えば、今既に売上がかなり落ち込んでいる事業者さん。
そもそも、既存顧客を大切にしていなかったのではないでしょうか。
この本を読んで
「究極のカスタマーファースト思考」を考えてみよう
今、どんなことが起きているか。
その変化によって自分の商売をどのように変えていかなければならないか。
このことを考えるのは大切です。
でも、普遍的なことはあります。
常連さんを少しずつで良いので増やしていくこと。
イコールライフタイムバリューのアクティブユーザーを増やすということ。
そのために常連さんを大切にしていく。
ゆるやかな関係性をつなげ続ける。
中小零細事業者のやることはそんなに大きく変わりません。
大手企業がやっていることを真似てはダメです。
オーナーが顔出しできるのも中小零細事業者のメリット。
常連さんと深く繋がれるのも中小零細事業者のメリット。
むしろ、ネットで便利になったからと手抜きをしていたら「ネットファースト思考」の時代に取り残されるかもしれません。
「アマゾンエフェクト」を読んでそんな風に感じました。
うん。大企業に勤めるよりも、小さくても事業主の方が良い時代になるんじゃないかなって正直思いました(笑)。