ある大手カニツアーのお話です。
とにかく集客力がすごい。交通費を抑えて運営できる企画ツアーだから、カニ料理も極力安く。
通常1万円前後で販売したいプランを6千円で提供。その代わり、平日もたくさん集客してもらえます。
毎日が大忙し。
仕入れと人件費を支払ったらお客様一人当たりの利益は500円ほどしかなかった。でも、お客様に沢山来て頂いているからいいよね、と4ヶ月間頑張りました。
春になってひと段落。たくさんのお客様を受け入れたし、傷んだ宴会場の畳を交換することに。畳の支払いをすると・・・
その冬得た利益が、ほとんど吹っ飛びました。
(ある地元の宿仲間の方に聞いた実話です)
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
ほとんど利益が残らず人手ばかりいる安売りツアー
10年ぐらい前に聞いた話なんですけどね。
今はそのお宿さん、安売りツアーは受けていないそうです。
いえ、厳密には受けられないでしょう。
団体ツアーを連日受け入れるとなると、人手が多くいります。
ここ数年、一気に人手不足の波が田舎にも押し寄せました。
お客様の申し込みがあっても、お部屋が空いていても、人手不足で受けることができない。
今はそんな時代です。
同じ利益を得られるならば、お客様10人×500円の利益よりも、一人当たりの利益2500円×2人のお客様を受け入れた方が人件費分利益をさらに上乗せできます。あるいはお客様にその分より良い食材を仕入れて提供することができます。
もう、薄利多売の時代は終わりました。
そもそもカニの場合、仕入れ自体が高騰しているのです。
山田桂一郎先生のお話で目から鱗がボロボロ落ちた
今年1年間、観光カリスマ山田桂一郎先生の講演を何度かお聞きしました。
桂一郎先生の住んでいるスイスのツェルマットでは、閑散期には高額商品をヘビーリピーター様向けに販売されるそうです。
この話、私にとっては目から鱗でした。
閑散期は安売り。
これが日本の観光業の常識。
実際、私がサラリーマンをしていた20年前もお客様側からの立場でそう思っていました。
沖縄に行く。
夏のお盆シーズンだと10万円。
2,3月のオフシーズンだと3万円。
それが当たり前だと思っていましたので、自分がお客様を迎える側になったら、閑散期は安くするもの。繁忙期は高くするものって勝手に思っていちゃったんですけどね。
例えば、閑散期に参加型のイベントをやって宿泊パックプランを作る。
オーナーや女将と一緒にイベントに参加する、みたいなものでも良い。
あるいは、普段は忙しい女将やオーナーが観光ガイドとなって地域を案内する。
関係性が深まりますので、むしろこういった企画はリピーターさん向けに販売する。
ペンションや民宿ならば、リピーターさん同士が仲良くなるような企画をしても良いかもしれません。
閑散期だから安くしてお客様が来て下さるのをじっと待っている時代ではないんですよね、今はもう。
観光ガイドで考えるとわかりやすい
今年、私にとって一番のトピックスは9月に参加した和歌山大学の夏季集中講座「観光ガイド論」。
日本中の観光ガイドで食べて行っている方々とスカイプ中継でつないで色々なお話を聞きました。
詳細はこちら↓↓↓
私自身、元々はダイビングガイドです。1日お一人様1万円、MAX4名様までご案内することがありますので、夏場は1日で1~4万円のガイド収入を得ることが可能です。
陸ガイド、ジオサイトガイドはなかなかお金をとるのが難しい。
そんな風に思っていた先入観を良い意味でぶっ壊される事例の数々。
里山エクスペリエンスの山田拓さんのお話
無双地図の横山昌太郎さんのお話
など、とても刺激的な事例が満載でした。
「観光ガイド」を職業として考えた場合。
月、いくらの人件費が必要か。
単純に20万円とすれば1日1万円×20日間の収入が必要です。
最低でも人件費だけで年間240万円必要。
であれば、
一人300円のガイド料金だとお客様1万人をガイドしないと300万円に到達しません。
ガイドが5人いればお客様を5万人ガイドしなければなりません。
一人1万円ならばお客様を300人ガイドすればOKです。
ガイド5人でもお客様1500人ガイドすればOKです。
全てにおける観光業も同様です。
飲食業もお土産屋さんも宿泊業も。
利益がどれほどあるかをまったく考えず、入れ込み数を追っかけるのはナンセンスな時代です。
さらに、打ち上げ花火的なイベントで瞬間的な臨時収入を上げるのも疑問。
鳥取のポケモンイベント
地域特性を活かしていないイベントで
一時的な経済効果を得ても後が続かない
例えば、上記の鳥取のポケモンイベント。
打ち上げ花火的なイベントは、人ごみの嫌なイメージしかその地域に残りません。地元の人とのふれあい度も低く、再び訪れたい地域にはならないでしょう。
何より、次回は鳥取である必要性はありません。
別の場所で同じイベントがあれば、別の場所へ行ってしまう富裕層ならぬ浮遊層です。
毎年訪れてくれる、あるいは年に何度も訪れてくれるリピーターを増やすこと。リピーターは地域の人とのふれあい度に比例します。
濃いふれあいのあるお客様を着実に積み上げていくこと。
観光業は今、一人300円のお客様を1万人を集客するのではなく、笑顔で1万円をお支払いくださる300人のお客様を集客する発想に変換しないといけないタイミングに来ているのだと思います。
入れ込み数ではなく、実際にお客様が地域に落として下さった金額。そこから生まれた雇用を見ていかなければなりません。
コムサポートオフィス代表
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