スーパーに行くと特売でもやしが1円とか10円で販売されていることがあります。
あれって本来の価格ではないですよね。
もやし自体の相場は一袋30~50円ぐらいだそうです。
でも私、もやしはとても好きな食材なので、仮に80~100円していても購入すると思います。
そう考えると、美味しさにおける価値があるのに、価格という面で1円や10円売りの目玉商品として扱われる「もやし」って気の毒です。
いえ、もやしの生産農家さんに対して失礼な話だな~って思うんですね。
価格って誰が決めているのでしょうか。。
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
価格って誰が決めるの?
皆さんはそんなこと、考えたことはありますか?
市場が決める。お客様が決める。
確かに広く見ればそうなのですが、型番商品の場合はメーカーが希望小売価格を提示してよいわけですし、我々のようなサービス業の場合は、事業者側が決めてよいはずです。
でも、実際はそうではありませんでした。
旅行会社は繁忙期に定価以上売りをすることがある
私はサラリーマン時代、ゴールデンウイークやお盆、お正月には宮古島にダイビングへ行っていました。3年以上年3回行ってましたので、宮古島だけで10回以上行っていました。
宮古島の池間大橋
私が宮古島によく通った当時はまだ
出来たばかりの橋でした
その際、無茶苦茶高かったです。でも、有給の取れない会社にいましたので、高くてもその時期にしか旅行ができませんでした。
なんせ、世間の繁忙期。当時は飛行機の早割もホテルをとるのに予約サイトもない時代です。旅行会社のパッケージツアーしか予約方法がわからない。
3日間のダイビングと羽田ー宮古の往復飛行機、ホテル5泊ぐらいついて18万円~20万円ぐらいだったと思います。
今考えるとダイビングが4万5千円+宿泊4万円、往復の飛行機代6万円と定価購入するよりも5万円以上高い価格で買っていたんですね。
サラリーマンを辞めて平日閑散期に宮古島へ行きました。同じ日程で10万円以下、半額近かったです。
お客さんがない時はとことん安く。繁忙期は定価よりも高く。そんな風に販売されていることに何の疑問も思いませんでした。
私が20代の頃の話です。
続いて30代の頃のお話。
実家の宿を継いだ当初、ビックリしたことがありました。
旅行会社は定価以上で販売しても、宿が頂ける価格はほぼ一定。
繁忙期だからと言って、宿側が高くで販売してもらえ、たくさん儲かるというわけではありませんでした。
からくりはこうです。
1泊2食一人1万円の部屋を旅行会社に提供した。
手数料は15%。
宿には1年を通じていつ販売しても一人8500円しか入ってきません。(休前日千円UP程度はあります)
でも、売る側の旅行会社は繁忙期は1万5千円や2万円で売っています。
宿は8500円しかお金を頂いていないのですが、お客様は1万5千円支払っている、という状態の日もある。
私が後を継いだ最初の夏、これでトラブルが起こりました。H旅行社からいらしたお客様がたまたま直予約をされたお客様の清算風景をみてらっしゃったんですね。
自分の方が一人5千円も高く支払っている!
となったわけです。
その場ではクレームになりませんでしたが、後からそのクレームを旅行社に持って行ったらしく、トラブルになりました。
ただ、うちとしてもお客様が直のお客様よりも高く支払われていることは知っていましたので、夕食のお料理を2品多くつけてアップグレードプランにしていました。
「その価格差はプランの違いです」
と、言えるようにしてあったんですね。
でもその旅行社、
「宿からお客様に謝罪して下さい」
って言ってきたのです。
いやいや。その説明と交渉をするのが旅行会社で、その報酬として手数料とってるんでしょ。
ブチぎれた私は、若気の至りもあり、大喧嘩。依頼その旅行会社との取引はしなくなりました。いえ、もっと言えばその翌年からほとんどの旅行会社との取引を止めました。
時は1998年。6月には自作でホームページを作成。1年後、そこからの予約が入り始めてきたからです。
当時私は「ホームページ」というお客様を直接取引ができる「魔法の小箱」を見つけた思いがしました。
直感的に
うちのような小さな宿は旅行会社なんかに頼らなくてもやって行ける
と思ったのです。
旅行会社と良好な関係でやられている宿もあったと思います。ただ、私はこの業界の仕組みに納得できませんでした。
販売価格の決定権を宿側ではなく旅行会社が持っている
という仕組みは受け入れられません。
私はサラリーマンをしていた時、電機メーカーでした。
メーカー→代理店(商社)→ユーザー
という図式があります。
メーカーと代理店(商社)の関係はイーブンです。
どちらかが偉いというわけではない、対等な関係。
これを宿業界に置き換えれば
宿→代理店(旅行会社)→ユーザー
という図式になります。
でも、私が感じたところだと、宿と代理店(旅行会社)の関係はイーブンではなかった。
何がビックリしたって、間際にキャンセルしてキャンセル料踏み倒す代理店が多かったのです。
旅行会社は「この日は売れる!」と思った繁忙期はまだお客さんをとる前からどうやら宿は押さえていたようなのです。
で、お客様がとれなければ間際キャンセル。
これをやられると宿はたまったものではありません。今でこそインターネットのおかげで直接当日販売もできます。でも、当時は間際で急に部屋が空いても、「当日の空室あり」ということを告知する方法がありませんでした。
繁忙日に部屋を押さえられて間際キャンセル。しかもキャンセル料は「今度埋め合わせするから~」と踏み倒す。
どう考えても宿よりも旅行会社の方が立場が強い。
私が1998年という初期の段階に本気でインターネット集客に取り組んだのはこの理不尽さに対する怒りがあったからだったと思います。
思えば、航空会社はチケットを旅行会社経由ではなく直接エンドユーザーであるお客様に販売するのが今、当たり前の時代になりました。
今、航空会社は「価格の決定権」を持っています。宿も同じです。今や自社サイトであれ予約サイトであれ、宿泊単体でお客様に直接販売することができます。
その際、あくまで宿側が決めた金額で提示され、誰かがそこに上乗せして販売する、ということはありません。
価格の決定権は誰かに決められるのではなく、自分にあるのです。
安くで売れるか高くで売れるか。
安く売るか、高く売るか。
それはまた別の話。
世の中の相場観というのも確かにあります。
でも、自分の販売している商品やサービスの価格を自分で決められない、勝手に決められるのは地獄です。
価値とは価格によって数値化できます。
自分の価値は自分で決める。
価格の決定権は売る側にある。
この当たり前のことができない商売は健全ではない、と私は考えています。
Web販売の登場によって、価格を自分で決められる権利を取り戻すことができました。
このことを時々思い出すことって大切。
もちろん、直接販売できるからこそ、同業者の価格も可視化され、価格競争に陥りやすいのですが。
これ、宿業界に限ったことではありません。
オークションでプレミアムなコンサートやスポーツ観戦チケットが定価以上販売をされている場をよく見ます。
この差益で儲けようとする人が自分が行こうと思っていないプラチナチケットをゲットして高値で販売しているのって健全ではないですよね。
転売禁止の通達(浦和レッズ公式サイト)
商社さんが何か新たな価値づけをして高くで売る分には良いのです。市場の需要と供給バランスの差益だけで高値販売されないようにする。
自分の商品やサービス、自分の価値は自分で決められるように。
価格の決定権は自分が持つこと。
このことを時々認識するのはとても大切なことだと思っています。
コムサポートオフィス代表
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