どうして現時点で日本版DMOはうまくいかないの?

地域活性化

DMOって何?

日本版DMOって何?

昨日の説明でご理解いただけましたでしょうか?

観光業界で話題のDMO(日本版DMO)って何?わかりやすく説明して!!
昨日は香住旅館組合の総会でした。香住には約150軒の宿泊施設がありますが、旅館組合加盟施設とお宿組合(主に民宿)加盟施設...

住民も役場もあらゆる産業が一体となって観光客をもてなす仕組みを地域全体で作ること。

ザックリ言ってしまうとこういうことです。

 

おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。

さてさて。この日本版DMO。昨日、なぜうまくいかないのか、というお話にも触れました。

「観光」と言えば観光事業者だけで考えればよい。農林漁業、商工業、地域住民には関係ない。これらを巻き込んで行うというのは政治に無関心な人たちに「もっと地域の議会を傍聴に行ったり、関心を持ったりしましょう!」というぐらい難しいです。

でも、人口が減り、地場産業が先細りしていくなると、地方を離れるか、食べていける何かを見つけるしかありません。どんな産業でも「観光」に絡めて考えることは可能です。

 


よく見るとこの図にも書かれています

商工業ならふるさと名物品の開発。農林漁業ならば体験プログラムの開発や、6次産業化による商品開発と書かれているのがそうです。

個々の業界では頑張るけど他の産業や地域と連携して行なう。ムラ社会の日本人はこれが苦手。

まずはこういった連携をやっていけるかというハードル。

しかし、それ以上に難しい問題があります。

補助金依存の繰り返し構造

地域において「観光」にもっとも力を入れている団体はどこでしょうか?観光協会ですよね。

その観光協会が旧態依然で疲弊してしまっている。どこの地域も決められたイベントをルーティンワークで回すのがせいいっぱいの団体となってしまっています。

イベントを増やしても減らさない。補助金がおりて新たなイベントが始まる。補助金の数だけイベントが増えます。

観光協会の関係者ばかりがしんどい思いをする。イベントでしか集客できない構造を作ってしまう。

実は国もその問題には気づいていて、これまでに地域間連携、産業間連携を促す様々な補助金でサポートしてきました。

観光協会が広域で連携していく観光連盟、広域観光圏。続いて観光地域づくりプラットフォーム。

これらは行政区域にとらわれない連携が狙いでした。


2014年に終了しました

この観光地域づくりプラットフォームの次に登場したのが日本版DMOです。

地域連携の次は産業連携、というわけですね。

要は何年か置きに新たな枠組みの補助金を支給するシステムです。


日本版DMOが失敗に終わっても、
また次の補助金が出るからそれに期待しよう。

こうやって団体を作っては失敗して消滅を繰り返す、補助金依存構造を地方側が持っているというのが一番の問題なのです。

DMOも「失敗すること」に対する危機感がありません。民間のように倒産したら創業した個人が借金を背負うということはないのですから。

補助金って何のためにあるかご存知ですか?

補助金依存体質は行政や各種団体だけの問題ではありません。近年はそれが中零細企業にも降りてきています。

今、ブームの持続化補助金、ものづくり補助金等がそうです。補助金は何か新しい事業をする時に最も困難である初動の資金を援助してもらうこと。何かを始める時、始めるお金がないからできない、ということが多いですよね。


といいつつ、
持続化補助金、現在追加募集中です!

そこをサポートすることで、商売を軌道に乗せるためのものです。なので、毎年補助金をあてにするというのは、本来ありえない。補助金とかに頼らずに新たなビジネスを創造、軌道に乗せるために最初だけサポートしてもらうものなのに、補助金が登場する都度申請する、なんてことになっては本末転倒です。

このことを多くの人たちに知ってもらいたい。

話を戻して、観光庁から出る補助金も同様です。仕組みを作って自走式になる最初だけ補助してもらうためのもの。でも、現実は補助金の終わりが縁の切れ目。補助金がなくなったら自走するどころか、そのシステム自体が終了となる。

今のままだと、日本版DMOもそうなる公算が強いのです。(もちろん、それをわかってなんとかしないと、と頑張っている団体がほとんどですけどね)

個人的には無理してでも借金して始めたことの方がうまくいくケースが多いように思います。身銭切ってやった方が本気で頑張ります。補助金でやると結果最後まできっちり出来ない事が多い・・。

全ての人がそうではないと思いますが、本当は補助金なくてもできることって色々あります。

ジオパークでも同じ問題が起こっている!

日本版DMOが補助金依存体質の繰り返し構造になり、今回も失敗するリスクが高い。何故そう思うかというと、実はジオパークがそうなっていると感じているからです。

7年前、私たち夫婦がジオパークを本気で応援しようと思ったのはその理念に賛同したからです。特に以下のジオパークの3本柱です。


ジオパークの3本柱
(保護保全・教育活用・地域振興)

地域資源を保護保全するだけじゃなく、子どもたちの教育に活用したり、観光・地域振興に活用して、持続可能な地域づくりに活かしましょう、という理念です。

環境団体だけでなく、他の事業者も関わって様々な地域資源開発に役立てていきましょう、ということ。日本版DMOってこれに近いと思いませんか?

素晴らしい理念です。この理念のおかげでしょうか。

まだジオパークという仕組みが導入されて10年も経っていないにもかかわらず、日本国内に43ものジオパークがあり、14ものジオパークを目指す地域があります。

この短期間で国立公園の33か所を抜いてしまいました。国定公園の56か所もあと数年で抜く勢いです。

では、この勢いでジオパークの一般住民における認知度は上がったでしょうか。

例えば早い段階で世界ジオパークとなった山陰海岸ジオパークの場合。行政は頑張っています。でも、民間レベルでいえば、オワコンの空気が漂っています。カヌーやダイビング、山岳ガイド等、別にジオパークの冠がなくてもやって行けるのです。

それこそ、ジオパークに関わると補助金がとりやすい、取れなくなれば別に無理に関わらなくてもよい。そのレベルです。

事実、ガイド部会で初期メンバーで残っているのは私だけ。もっと言えば高額ガイド(私のようにダイビング事業等単価の高いガイドを行っている人)で残っているのは私だけになってしまいました。

行政依存体質。補助金依存体質。仮に別会社を立ち上げても、民間から能力の高い人を招いても、結局は行政のやり方、補助金依存から抜けられない・・・。

こんな状態に先行地域がなっているのに、ジオパークを目指す地域が増え続けています。

あくまで「現時点では」です!!

地域連携、産業連携がなかなか進まない。日本版DMOもこのままいくと、失敗する団体が続出する可能性が高いです。

悲観的な考え方です。でもこれ、あくまで「現時点」でのお話です。このまま進んでしまうと、です。

大切なのは、「このままではヤバい」ということを自覚し、その問題をたくさんの人たちで共有することです。先のジオパークにおける問題点も、問題に気付いているという点では前進しています。

一番まずいのは、この問題点を認識していない。補助金依存体質で回していくことが普通だと思ってしまっている。もしくは認識しているけど見て見ぬふりをしている。

こうならないことです。昨日と今日で明確な問題点を指摘しました。

課題が明確ですよね?

地域間連携、産業間連携。逃げずに向き合った地域から成功します。持続可能な地域づくりが可能になります。人口減少に向き合う力もつきます。

行政依存体質、行政の進め方を継承しない。補助金は近い将来なくなる。それでもやって行ける状態を作ることに全力を注ぐ。

これ、DMOの問題だけではないです。自治体運営、ジオパーク運営、地域の抱える問題そのものなのです。

 

コムサポートオフィス代表
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