先日、地元の宿の同業者の息子さんが話をしたいと言って私のもとを訪れました。
同じ集落内の宿の息子さん(長男)
現在、某県立大学で建築学を専攻中
卒論のテーマが建築を通した地域再生、活性化。主にまちづくりについての話について聞きたいとのことでしたが、いや~よく勉強している!!私も知っているような地域活性化に取り組んでいる有名な地方への視察も行っている。そんな会話の中、私自身も再確認できることがポロッと口から出てきたので、今日はそのお話ししたいと思います。ズバリ、「なぜ田舎の人口は減っていくのか?」というテーマです。これって田舎のビジネスにおいても重要な問題をはらんでいます。
おはようございます!普段は民宿の親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
常々思っていますが、私たちの世代よりも今の20代の子たちの方が当時の私たちに比べてレベルが高いです。今の若者たちはモノに困っている時代ではないものの、景気の良かった時代を知らないし、なおかつ膨大な情報量の中から選ばなければならない環境下で物心ついた時から生活しています。
そりゃあ、バブルも経験し、とにかく頑張ることが善、頑張れば誰でも何でも手に入った私たちの時代の方が考え方が単純だし、思考に深さがありません。
今日のお話は、昨日のブログの中で
正直に言います。田舎で商売をされている方の中には自分の商売に興味を持っていない人が多いです。儲かるからこの商売やっている、ニーズがあるからこの商売やっている、的な。(この話も長くなりそうなので後日)
と書いていた事についてとなります。
「自分の商売に興味を持っていない」「儲かるからやっている」という大人たちの発想、行動が、結果として自分の子供たちが田舎に帰ってくるのを阻害しているじゃないかと感じています。
地域活性化、まちづくりの話は私も勉強になった
最初に彼の方から話してくれたのは家屋のリノベーションによって地域のコンテンツを変えていく試み。例えば、私の住む佐津集落ならば、近隣の複数軒の宿をつなぎ合わせてお風呂を共有化させる、とか。
あと、彼がスタッフ参加したという滋賀県長浜のツイードランの話。
記事はこちら↓↓↓
ツイード姿おしゃれにサイクリング 滋賀・長浜
ツイードランについて詳細はこちら↓↓↓
世界で最も「おしゃれな自転車レース」。当然、ドレスコードありです!
いや、このツイードランはイギリスから帰ってきたばかりだったということで私も興味津々。ニッカポッカの古き英国スタイルで自転車に乗り街を走る。かっこええやん!大学時代サイクリストだった私の血が騒ぎます。
ツイードランのコンセプトは
サイクリング×ファッション
ファッションと言っても毛織物のツイード素材のジャケットやズボン、帽子を身につけて自転車で走るというニッチなかっこよさ。
サイクリングイベントとニッチなファッションを掛け合わせていることによる特殊性が目を引きます。2009年にロンドンで始まり、2012年から始まった東京の会では希望者殺到でなかなか参加できないほどとか。日本国内でも現在大阪、神戸、愛知と広まっています。
今回の長浜のイベントも大好評で手ごたえを感じたそうです。
マラソンが流行っているからマラソン大会、といったような画一的な思考ではなく、掛け合わせによる独自性、2つの業界がともに盛り上がり、なおかつ地域を盛り上げていくというのがとても良いイベントです。私もランドナーでニッカポッカはいて近い将来参加したい、と思いました。
既存2つのあるものを掛け合わせて新しいものを作り出す。マーケティングで独自性を出すコツなのですが、彼はこの若さでこのことを十分理解していました。頭がいい!!
田舎の人口減少一番の原因は何か?
さて、そんな中将来の話になりまして。彼は建築士としての夢を色々と語ってくれたのですが、実家の宿のことも少なからず興味はある様で。ただ、まだ両親が若いので建築士としての経験をもっともっと積んでいきたいとのことです。
そんな中、私が彼にした質問が
「両親は楽しそうに仕事をしていますか?」
というもの。
即答で
「しんどそう」「大変そう」
でした。この回答は私も予想通りでした。誤解を恐れずに言えば、ご両親も「やりがい」は感じて頑張ってらっしゃると思うんです。
なぜ私がこの返事を想像できたかというと、うちの宿も同じだから。うちの母親も先代である祖父母も「やりがい」を持ってこの仕事に打ち込んでいる(いた)と思います。
でも、笑顔で楽しそうな顔よりもピリピリ怒って文句を言っている顔の方が多かった。それは今もです。
仕事はしんどいのが当たり前。頑張るから報酬を得てそれが喜びになる。特に私たちの住んでいるこの地域は高度経済成長期以降、集客に困らなかった。昭和40年代に海水浴ブームが訪れ、夏だけで1年分を稼ぐことができた。100軒ちょっとの世帯数の集落に50軒以上の民宿が誕生した。「民宿をやりたい!」ではなく「儲かるから」「ニーズがあるから」生まれた産業。その後海水浴が下火になっても、関西特有のカニ文化が成熟し、今でもまだカニというキラーコンテンツのおかげで集客に困らない地域になっている。今でも40軒弱の民宿が存在しています。
よく、働くところがない、住むところがないから都会に出た子供たちは田舎に帰ってこないと言われています。それが田舎の人口減少の原因だと。
でも、産業も住むところもある条件の良い田舎であっても、子供たちは都会から帰ってこない。私自身、金銭的な面で言えば、都会よりもこの田舎の方がずっと住みよいと思っています。田舎の方がビジネスチャンスをつかみやすい。それは宿泊業に限らず、農業でも漁業でも林業でも。やり方を時代に合わせれば良いのです。
じゃあ、金銭的な余裕があるにもかかわらず子供たちが帰ってこない理由は?
ズバリ、私は
大人が楽しそうに仕事をしていないから
だと、考えています。
親が、大人が楽しそうに仕事をしていたら子供も早く帰ってきて親の仕事を手伝いたい。自分もあんな楽しそうに仕事ができるのならば、早く大人になって仕事がしたい、親の仕事を引き継ぎたい、と思うはず。
でも、一昔前の発想は
苦労は買ってでもしろ
の時代。
今のモノに困ってない時代には通用しない考え方です。
確かに苦労してその壁を乗り越えた感動を知る必要はあります。でも、日々の仕事を楽しそうにしていない、しんどそうにしている親を見て子供が将来田舎に帰ってきて商売を継ごうとは思いません。だからこそ、これからは、仕事の楽しさを子供たちに見せることこそが今の大人がやるべきことなんじゃないかと感じています。
田舎で頑張る大人の皆さん。子供たちに大人が楽しそうに働く姿を見せていますか?
地域の誇りをしっかり伝えていますか?
「このまちには何もないから」
なんて言ってませんか?
「こんなまちに帰ってきても仕方ないから、都会で働きなさい。」
って大人が子供に言ってしまっていませんか?
今いる子供たちが近い将来この地にいてくれているかどうかは、今の大人たちの態度が決めているのです。
「田舎を地方を元気にしたい!」が天命
コムサポートオフィス代表今井ひろこの
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