先日、ロンドンの地下鉄に関するこんな記事を目にしました。
ロンドンの地下鉄は現金で支払うと初乗りでもなんと4.9ポンド(約790円)!
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
先述のコラムによると、ロンドンでは「オイスター」というキャッシュレスカードで購入すれば地下鉄代が半額になるそうです。日本で言えばSuicaのようなものですね。
日本だと高速道路料金を払うETCはキャッシュレスなので、現金で払うより安くしています。
海外では、現金でなくキャッシュレスにして安くするのはスタンダードな考え方のようです。
ただ、イギリスの地下鉄の場合のポイントは「オイスター」が48時間以上滞在しないとデポジットが帰ってこない、すなわち観光客には使いづらい構造になっている。
先の記事曰く
駅員に「こんな説明を日々繰り返していて大変ですね?」と聞くと、意外な答えが返ってきた。
「結局のところ、観光客は高めの切符を買うわけなんで、まぁ、それはそれでわれわれとしてはありがたいわけで……。案内にこんなに手間をかけて話をしているのだから、その分観光客は余分に払ってもいいんじゃない?」
これは「手間賃の分を運賃に上乗せしている」という意味にもとれる。公式にはそうしたことはどこにも書かれていないが、係員配置の人件費、発券機能のついた販売機の設置コストなどを考慮すると、「差額」をつけるという発想は理解できなくもない。
とのこと。
つまりキャッシュレスで安く、ということよりも
「手間がかかるから料金が高い」
ということがポイント。
この当たり前の発想が日本人は苦手です。
安売りで来たお客様は手間がかかる
手間がかかるお客様ほど安くしている。
私の宿も以前はそうでしたからよーくわかります。
これ、やっている事業者さんが多い。
手間がかかるお客様の定義ってなんでしょうか?
ズバリ、
売り手のことをよく知らない、
商品の特徴やウリが何かを知らずに購入してしまった方
のことです。
具体的な商品がほしい。東芝の○×という冷蔵庫が欲しければ、通販で買っても量販店で買ってもまちの電気屋さんで買ってもどこでも良いという方。
我々宿業界なら「温泉に入りたい」「カニが食べたい」という目的があればどこの宿だって良いという方です。
決め手は価格比較で購入される方。
「うちで買うとこんな良いことがありますよ」
ということを提示せずに価格を下げるのが安売り。
値段に釣られてくるお客様は、価格以外のところを見ていません。最悪の場合、自分に都合のいいように解釈している。期待値だけが高い。
なので、実際買ってみて、来てみて、自分のイメージや要望と違うことが多い。
むしろ、「安売り価格で来たからサービスを手抜きされた」と感じ、クレームが生じやすい。
説明に手間がかかると同時に、いつクレームが爆発するかわからないので、通常以上に気を配らなければならない。
以前、半額クーポンサイトにお試し出稿した際に、これはダメだと思ったことの一つに
安くできたお客様ほど手抜きをされないかという猜疑心からチェックが厳しくなる
ということを感じたからです。
それは結果として、正規の料金で来てくださったお客様にかける工数を奪われているのです。
高価格で来たお客様はなぜ手間がかからないのか
逆に高価格のサービスは、そのお金を支払うだけの理由がある。当たり前ですが、高価格である理由を理解した上で購入されています。
宿の場合ならば、来てくださる。
高価格だと期待値が高い、と思われがちですが、お客様はそんなに馬鹿ではありません。
高価格でも購入したのは「高くでも購入する理由があったから」であり、その部分にフォーカスしてしっかり対応すれば、お客様の満足度は高くなるのです。
高価格=何でも完璧
というわけではありません。
売り手側がよく勘違いするのは「完璧だから高い」という思い込みです。
お客様が求めているのは「完璧」ではなく「個性」であったり「尖り(とんがり)」であることの方が多いのです。
ここでいう「高くで売る」とは「安くしない」「適正価格で売る」という意味です。
もちろん、お客様の期待値に応えなければならないのは大切ですが、応じるポイントが明確な方がやりやすい、どんなに工数をかけても「手間」とは感じませんよね。
ここもポイントです。
適正価格で宿泊してくださったお客様は
「手間がかからない」お客様ではなく、
「手間をかけるのが苦にならない」お客様
です。
「手間をかけたお客様ほど料金が高い」構造にすること
自分の商売を見直してみてください。
手間をかけたお客様ほど料金が高い構造になっていますか?
手間がかかるお客様の方が料金が安いってなっていませんか?
その場その場の感情で価格設定やキャンペーンをしていると、気づかないうちに儲からない商品やプランほど手間のかかる構造にしてしまっていることがあります。
たくさんの特典をつけて更に割引。
特典を作りすぎて、どの特典をつけたかつけてないかが管理できない状態になっている。
細かい要望にお応えするのも、対応できるプランは安売りしてはいけない。
「手間」とは設備や施設とはまた別の価値です。
「手間」をかけた分、価格に上乗せして良いのです。
今一度自社の商品やプランが「手間と価格」で見合ったものになっているかを確認してみましょう。