リピーターを大切にしない観光に未来はない~「観光立国の正体」をエクスマ的解釈で書評する

マーケティング

コムサポ代表であるうちの奥さんのブログが「観光立国の正体」の書評を書いてプチバズしています。

 


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「質の低いボランティアガイドはストーカーと一緒」〜『観光立国の正体』から

観光ガイド、ジオパークガイド。そして元ダイビングガイドとしての視点から書評しています。鋭い指摘です。(あ、鋭い指摘をしているのは、うちの奥さんの論評ではなくこの本ですねf^^)

 

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おはようございます!普段は民宿の親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。

さてさて。私も「観光立国の正体」の感想を書かせていただきます。

観光立国の正体
書籍は奥さんから借りました

先述の今井ひろこの記事はガイド目線でしたので、私はマーケティング目線、特にエクスマ目線でこの本を書評します。

リピーターを大切にしない観光に未来はない

まず、私が最も共感したところは「観光で地域経済を活性化させる=リピーター、ファンを増やす」という考え方です。本書では、日本の観光業はこの部分が徹底的に欠けていると指摘されています。

日本の観光地がなぜダメになったのか?私に言わせれば理由ははっきりしています。まず一つは一見のお客様を効率よく回すことだけを考え、満足度やリピーターを獲得する努力を怠ってきたことです。とりわけ高度経済成長期からバブルにかけて団体客で賑わった観光地では、旅行会社と旅館やホテル、お土産屋、運輸業者などががっちりと手を結び、一種の利益共同体を形成していました。旅行会社が送り込んでくれる団体客にお決まりの食事を出し、いっせいに布団を敷いて眠ってもらえれば、とりあえず利益が確保出来たのです。古い事業者の中には「自分たちもそうして営業努力を重ねてきたんだ」とおっしゃる方もおられます。しかし、あえて厳しい言い方をすれば、それは結局のところあてがわれたお客様を右から左へ捌いていたにすぎません。たしかに作業としては目が回るほど忙しい時期もあったでしょう。しかし、その作業はお客様の満足度をとことん追求して再度訪れてもらうという、本当の意味での経営努力ではなかったはずです。夜が明けるとなるべく早く朝食を用意して、「さあ出て行ってください」とばかりに仲居さんが布団を上げにくるような旅館がいまだに残っています。それらはすべて事業者側の都合であって、お客様の都合ではないのです。そんな扱いを受けたところに再び泊まってみようと思うお客様などいるわけがありません。

「観光立国の正体」より抜粋

ひと言でいうと「お客様を見ていない」ってこと。商品からの発想しかなく、お客様の需要から発想するという考え方がない。(これ、言い換えると「モノ」からの発想しかなく、お客様が望んでいる「体験」から発想する考え方がない。と、まさにエクスマの方程式「モノではなく体験を売る」と同じです。)

私の属する宿業界で言えば、大型旅館やホテルだけの話ではありません。海水浴やスキー場ブームでできた民宿やペンションも近いものがあります。私の宿も19年前私が継いだ時、まだインターネット集客もなく、旅行会社や案内所の依存度が髙かったです。旅行会社からのお客様は、自分の宿のお客様ではなく、旅行会社のお客様。もう一度お越しくださるって発想はありませんでした。地域の「ウリ(=モノ)」に対して旅行会社が送客してくれるお客様を右から左に、といった感じ。小さな宿ですら団体旅行やグループ旅行が多かった。

今、私たち旅行業界では外国人誘客(インバウンド)がブームになっています。これも人数を追っかけているからか、団体観光客の誘客に必死な感じがします。お決まりの食事を出して団体客を回すというこれまでのビジネスモデルに外国人を当てはめているだけ。こちらの提供できるモノの押し付け。お客様に素敵な体験を提供することで”リピーターを獲得する”という考えはまだまだ少ないです。

私もエクスマに出会うまでリピーター獲得の発想はなかった

業界に染まっていくとそれが当たり前になってしまうものです。私自身、ちょっと前まで集客に頭を悩ませてばかりいました。どうやったらお客様を増やせるか。集客のための様々な手法を学びました。時にはクーポンやポイント10倍、いわゆるディスカウントの手法もやりまくりました。売り手目線ばかりでお客様の立場になって考える余裕もなかったです。

「どうすればお客様が喜んで下さるか」ではなく「どうすれば売上が上がるか」でしか考えることしかできなかったのです。

直接お電話で予約してきてくださった常連様(リピーターさん)へは標準価格。インターネットで申し込まれた新規客へはディスカウント。よく考えるとこれ、常連さんに対して失礼な話ですよね。

そんな”愛”のないやり方をしているとお客様がリピーターにならないのは当たり前です。5年前以降私はエクスマに出会い、藤村先生に

常連さんを死ぬほど大切にしなさい

という言葉を信じ、そのためにできることを実践していきました。

エクスマ藤村先生の「常連様に対する重要性」についてのブログは以下をご参照ください。

新規の客より既存顧客を死ぬほど大切にしよう

個人的には私がエクスマを知った頃、藤村先生のアメブロ時代の記事の方がわかりやすいかもしれません。

新規顧客より既存顧客を死ぬほど大切にしよう!

市場の占有率を見る前に、お客さまのほうを見よう

今は不況でも不景気でもない 既存客にお手紙を書くということ

共同購入クーポンサイトは、おなじみさんを大切にするシナリオではない 

まだ紹介させていただきたい記事は他にもたくさんありますが、上記に代表的なものをあげてみました。当時これらを読んで私は意識改革をしていました。ぜひ皆さんもご参考に。

 

ちなみに旅館業ではリピート率が20%あれば優良旅館と言われています。私の宿では11-3月のリピート率が28%でした。一見高そうですがこれ、決して高くありません。私の住む香住ではどこの宿も冬のカニシーズンのリピート率が30%前後と言われています。つまり、平均です。良くも悪くもない。むしろ、40年以上同じ場所で続けているのですからリピーターさんがいないことの方が問題です。

それがエクスマに出会ってから3年連続でリピート率が50%以上になりました。(昨年度2015年11月~2016年3月のリピート率は54%)もちろん、売上も稼働率も上がっています。(どんなことをやったのかは私がコムサポセミナーで登壇した際にお話しした通りです。また機会があればお話しさせていただきます)

0419のコムサポセミナー
去年の4月に2回開催した
コムサポセミナーに参加された方には
具体的な事例をお話しさせていただきました

4年目の今年はどうか。来月12月。休館日の2日以外はほぼ満室となりました。しかも、以前は冬の5か月間の広告費だけで300万円近く使っていたのが今では広告代としてはゼロに近いです。(お手紙の郵便代とかニュースレターの印刷代にお金を使う程度に変わりました)

常連さんにこまめにお手紙を書き、ブログやSNSでつながっていった結果です。今思うと当たり前のこと、商売の基本に戻っただけです。どの広告が反応率が高いかばかりを考え、新規顧客を増やすことにばかり予算を費やしていたのが過去の話になりました。

小さな宿でも国やまちレベルでも本質は同じ


それって8室しかない小さな宿だからできることだよ

そういわれる方も多いかと思います。

ちなみにエクスマを学んでいる先輩宿ですと、客室数が30室とかそれ以上の規模の旅館やホテルでもリピーター率60%台とか80%台とかのところがあります。8室しかなくて50%台の私の宿なんて、まだまだです。

間違いないのはリピーターを作っていかないと、観光業というのは伸びないということ。特に国内旅行者を新規顧客で回していくなんて不可能な時代です。

「観光立国の正体」では、今までの日本の観光客の集客スタイルをバッサリ否定しています。特に「観光で町おこし」を掲げているところほど大きな勘違いをしている。リピーターを育てる発想がない。更に言えば、国レベル、まちレベルで行う場合、観光業界だけ利益が得られる発想をしてはいけません。

日本の観光・リゾート地がダメになったもう一つの理由は、住民の生き生きしたリアルな生活がお客様には全く見えず、体験する機会もなかったことです。これまで多くの事業者は、目先の業界利益だけにとらわれて、本当に魅力ある地域づくりには取り組んできませんでした。行政や観光協会主導でイベントを企画したり、いわゆるハコモノの検察を働きかけることはあっても、幅広い職種と連携して地域全体に利益をもたらすような発想は希薄でした。それではいつまでたっても他の産業事業者や住民の意識は高まらず、訪問者にもう一度戻ってきたいと感じてもらえるような地域へ育てることもできません。

「観光立国の正体」より抜粋

地方の皆さん、自分の町のことを書かれているかのように感じませんか?地方はどこの町もこの構造に陥っているのです。あまりにも図星、問題点の指摘が的確すぎてぐうの音も出ません(笑)

私自身、やってみれば当たり前の常連さんを大切にしていくリピーター対策。5年前まで知らなかったのです。何故知らなかったのか。こんな当たり前のことを認識しなくても商売ができてしまう環境に日本全体がなってしまっていたのではないでしょうか。

本書の中では、なぜそれが改善されないのかという理由。具体的な改善案とそれを乗り越えるための壁が何なのかを明確に示唆してくれています。何より、実際の成功事例がしっかり書かれています。

観光立国の正体の目次
目次を見ただけでワクワクしちゃいます♪

その肝心な部分はネタバレになりますので、ここでは書きません。ぜひ皆さんもこの本を手に取ってみて下さい。結局は自分のお店、宿だけが儲かっても地域経済が落ち込んでいったら未来はありません。(そのこともこの本の中で指摘されています)

リピーターを大切にする考え方。”自分が儲かる”視点ではなく”お客様が喜ぶ”視点での観光(=感幸)。この本に書かれていることはエクスマを使って町おこしをしたらこうなる、という教本のようにさえ私は感じました。

地方でビジネスをされている方は必読の一冊です。

 

結局私もKindle版で買っちゃいました♪

3年後、5年後、近い未来を予言する書です!!

私がエクスマにハマっているのは藤村先生に出会った5年前、藤村先生が当時おっしゃってたことが今や現実になってきているということ。

例えば、

「情報洪水で広告から誰も買わなくなる。今のうちにお馴染みさんを徹底的に大切にしておくこと」

「人は知っている人からしかモノを買わない時代になる。SNSなどでゆるやかな関係性をつくっておくこと」

SNSがゆるやかな関係性を作るツールとなる(決して売り込みのツールではない)ことを私が出会った頃から言われていました。

そんな私が今回「観光立国の正体」を読んでみて思ったのは、これも”予言の書”であるということ。この本、問題点だけ指摘しているのではないのです。その問題点に向き合い、改善して成功した地域の事例も紹介されています。

事例はエクスマを学んでいる人ならばごくごく自然に理解できる内容です。まさに「エクスマで地方創生」を考える教本になり得る良書。観光関係者の皆様はぜひお読みくださいね♪

 

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「田舎を地方を元気にしたい!」が天命
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