地域づくりでイノベ―ティブな意見が出た時。
よしそれを皆でやろう!!
とはなかなかなりません。
なぜか?
山田桂一郎先生が以前講演の中で言われてました。
(「観光立国の正体」の中でも書かれています)
「(提案している)あいつが気にくわないからその企画には協力したくない」
多くの地域づくりがうまくいかないのは、こういった反発で合意形成が難しくなるから。
田舎あるあるです。
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
「持続可能な開発」は一枚岩ではできない
山陰海岸ジオパークの以前の世界審査において、世界ジオパークの実質的なナンバー1であるパトリック・マッキーバー博士が、中貝市長から「コウノトリの野生復帰」の話を聞いた時、涙を流して感動されたそうです。
これぞ、ジオパークにおける理想だ、と。
世界ジオパークの理念はサステナブルデベロップメント(=持続開発な開発)です。
未来に今の環境を残しながら発展していくこと。
これ、環境と経済を両立させている「コウノトリの野生復帰」は世界で最も先を行くサステナブルデベロップメントであることは疑いようがありません。
でも現実、住んでいる人たちにとってはどうでしょうか。
8万人いる人口の全員が手放しで支持しているわけではないでしょう。
実際
「コウノトリなんかにそんなにお金使わずにもっと除雪とか道の整備にお金をかけてくれ!」
と日々の暮らしに対する不満の声を聞くこともあります。
中貝市長のことを「コウノトリ市長」と揶揄する人もいます。
でも、それは当然なのです。
全ての人を同じ考えで賛同させるなんて無理です。
そんな中で「コウノトリの野生復帰」を実現させたことに価値があります。
「コウノトリの野生復帰」をやろう、と決めて実践できていることに価値がある。
これは、豊岡市の「合意形成能力」が素晴らしかったということです。
反対意見、時には反発がある中で、どう合意形成できたのか。
豊岡市ではできたけど、これが市町、府県をまたぐ山陰海岸ジオパークになるとできないのか。
先日の緊急企画「山陰海岸にジオパークは必要か?」に参加して私が感じたこと。
ジオパークをどうしたいか。
ジオパークをどれほど理解できているか。
様々な論点のある中、そもそも何を地域づくりのプラットフォームにしたとしても、「合意形成能力」を高めないとうまくいかないんじゃないかなと感じたのです。
外部の意見、外からの目線は想像以上に重要
今回の緊急企画、講演兼ファシリテーターをユネスコ世界ジオパークの審査員でもある、徳山大学の柚洞先生にお願いしました。
優れた先生は山陰海岸ジオパーク内にもたくさんいらっしゃいます。ひょっとしたら言われていることは内部の先生も外部の先生も全く同じことかも知れません。
でも、外部の先生からお聞きすると全く違った意見に聞こえるから不思議です。
よくうちの奥さんも言います。
「前から私が言ってたことなのに、なんで私が言っても聞かないのに藤村先生が言うと素直に聞くのよ!!」
突き詰めれば確かに同じ話だったのかもしれませんが、「伝え方」が違うだけで、「誰が伝えたのか」で受け取る側は全然聞く耳を持たなかったり、逆にスゥーッと話が入ってくるものなのです。
実際、うちの奥さんが日本中のジオパーク候補地で行っている「ジオパークで地域を元気に!」の講演内容は、外のジオパークだから感動されるのであって、地元で開催しても手応えの少ないものになるかもしれません。
「外からの意見」を聞くのはとても大切なのです。
あるいは、どうしても伝わらないと思ったら、「伝え方を変える」=「外部の人に代わりに伝えてもらう」という選択肢もあります。
だからこそ「合意形成能力」が重要なんだと感じる
私が”ファシリテーション”能力こそが今こそ重要だと感じている理由。
ファシリテーション(英: Facilitation)は、会議、ミーティング等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、組織や参加者の活性化、協働を促進させるリーダーの持つ能力の1つ。
二人のファシリテーション技術を学んだからです。(あくまでも学んだだけで、使いこなせているわけではありません)
一人はNPO法人 淡路島アートセンター 理事長&青木将幸ファシリテーター事務所 代表・ファシリテーターである青木将幸さん。
以前、香住にお招きして会議の進め方講座を行っていただきました。
良い会議、悪い会議。
良いダイビングショップ。悪いダイビングショップ。
良い民宿、悪い民宿。
ブレストして、自分たちの理想を共有化する。
そういえば、最近やっていないなぁ・・・。
今回の緊急企画はNPOで行いましたが、本来の主体はジオ談会(山陰海岸ジオパーク談話会)のメンバーが主となって開催しました。
こちらも
良いジオ談会、悪いジオ談会
全員一致の理想共有ができていない中での開催になっていたように思います。
もう一人は人・まち・住まい研究所代表&神戸まちづくり研究所事務局長の浅見雅之さん。
最近は城崎温泉にも良くいらっしゃってますが、以前は香美町にもお越し下さり、講演会も開催して頂きました。
この時、目から鱗だったのが「納得のプロセス」という考え方。
自分と相反する意見は理解できないものです。そもそもわからない・・・。でも、それで拒絶して話を聞かないのであれば、それはこちら側の問題です。
「納得」できるまで聞いているか。それを受け入れる、理解するとは別です。
意見の違いを受け入れるのと、相手の話を聞くのは分けて考える。
納得できるまで話を聞けているか。
これができないと「合意形成」はできないんですよね。
青木先生の話も浅見先生の話も以前学んでいるはずなのに・・・。
私自身、どこかへ失念してしまっています。
「人の意見を聞かない」と言えば、反感を持つ人、違和感を持つ人は多いと思います。
いや、聞いているよ、と。
「人の意見を聞かない」とは自分と反対意見である時点で心に壁を作ってしまうこと。反対であることに合意した上で、相手の言い分を納得するまで聞いて初めて「人の意見を聞いた」となります。
「人の意見を聞く」の裏返しに「自分の意見を言いたい」があるんですよね。これが「納得」することを阻害してしまっています。私も例外ではありません。
明日から4月。
新たな期の始まりです。
ファシリテーションの学び直し。
今年4分の3における自分自身のテーマにおきたいと思っています。
先述のお二人の先生にもまた但馬に来ていただこうと計画しています。