参加者24人。これが多いか、少ないか。
いや、多いでしょう。
だって年度末。
しかも10時スタートの17時終了。
その後の懇親会を入れると21時まで。
丸一日が潰れるわけです。
お越し下さった方、感謝です。
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
さて、今日は3月27日に開催された下記談話会の振り返りです。
山陰海岸にジオパークは必要か?
なかなか刺激的なタイトルですよね。
危機感を共有するためにあえてこんなタイトルにしました。
もちろん、「必要ない」って結論を導き出すために集まるわけはありません。
「必要」って思っている人が、京丹後から鳥取市まで20名以上も集まって下さったわけです。
タイトルだけ見て
「必要ないって思ってるんだ!」
と感じた人もいるでしょう。
深く意図を読み取ったり、聞いたりする前にタイトルだけで判断する人も世の中にはいます。
いえ。むしろ、そういった人の方が圧倒的に多い。
そういう意味では、今回のタイトル。大正解でした。危機感を共有してもらえる人だけが参加して下さったから。
このタイトルを見て何とも思わない人、ふざけるなって思った人は参加しても気づきの少ない場だったと思います。
イエローカードになった本当の理由
今回の講演兼ファシリテーターはユネスコ世界ジオパークの審査員でもある、徳山大学の柚洞先生にお願いしました。実は去年の男鹿半島での全国大会懇親時、山陰海岸ジオパークのイエローカードの原因を我々夫婦に的確に説明して下さいました。
審査員側からの意見、全てが腑に落ちる内容でした。が、地元に帰ってきてジオパーク関連の会議に出て聞く理由は余りにも的外れ。最初は「そうじゃないんだ」と我々夫婦もアピールしようとしたのですが、私達末端の者が説明しても伝わらない。これは柚洞先生に来ていただいて直接お話しいただいた方が良いのではないか、と思ったのです。
人は他人の話を聞かないです。
いや、私もそうなんですけどね。特に自分と異なる意見を長く聞き続けるのは苦痛です。
今回の談話会で、これまで自分も原因と思っていたことが、そうではないと認識したことがありました。
例えば山陰海岸の事務局は、事務局長が2年おきに変わる。事務局員も毎年大幅に入れ替わる。これでは長期運営していくことができない。これもイエローカードの一因だ、と思っていました。
まあ、確かに入れ替わりの人数に程度問題はありますが、実はこれが直接原因じゃない。
なぜならば、別に担当が変わったってちゃんと機能している企業や団体は世の中にたくさんあります。
むしろ、会長が10年以上変わらず、逆に新しいアイデアが生まれにくい構造となり、老害化している団体もあります。
よく変わるのが問題の場合もあれば、長期が問題の場合もある。どっちでも悪いケースもうまくいくケースもあるのです。
うまくいかない理由を「よく変わるから」「全然変わらないから」にするのには言い訳に過ぎません。
それよりも、イエローカードの指摘文章の最後に書かれていた部分に注目です。
推進協議会や同事務局を含めて様々な主体が問題解決のために対話を繰り返し、山陰海岸ユネスコ世界ジオパークとしての持続的発展のあり方を考えて欲しい。以上のことから、日本ジオパークとして条件付き再認定とした。
そうなんです。
問題解決のために対話を繰り返し
の部分がキーワードです。
つまり、ただでさえ広域ジオパークで1府2県、3市3町にまたがるジオパークであるにも関わらず、
対話不足
を指摘されているのです。
実際、イエローカードに対してJGNへの怒りを表明している人もいました。「怒り」って対話を拒否するんですよね。様々な考え方があるのは事実です。でも、ジオパークというツールを使って持続可能な開発のできる地域にしていきたいという思いは皆同じです。
にもかかわらず、対話できないのは何故なのでしょうか。
学び、進化する仕組みができていない
柚洞先生の情報提供の中で、興味深い話がありました。
ジオガイドの人達はティーチング型(教えるスタイル)のガイドをする人が多い。
お客様にラーニング型(考えてもらうスタイル)のガイドが苦手。全てにおいて自分たちが喋るのを聞いてほしい、という人が多い。
では、お客様に考えて頂くガイドとは何か。お客様に”気づき”を得てもらえるような体験を提供すること。その為には、お客様が何を求めているかを”聞く”ことの方が大切になるわけです。
ガイドとしての知識を話すことではなく、お客様の興味を聞き出すことの方が大切。
これはプロガイドとして大切なことです。
実は、山陰海岸ジオパークを外から見るとガイドに限らず、事務局も推進協議会も全てがこのティーチング型で動いており、考えて動いているという実態を感じない組織で動かしているように見えるそうなのです。
だから、ジオパーク関係者で集まった時に山陰海岸の話題が出ると
ああ、山陰さんね・・・(苦笑)
という空気感になっているそうです。
頑張っているように見えるけど、実体がない。
お役所仕事を回している、進化が見えないのでしょう。
そう。ジオパークは4年ごとに認定審査があります。現状維持ではダメで、進化していないといけないのですから。
総じて早くにジオパークになったところほど苦戦している。
ジオパークの先行地ではあるけど、先進地ではありません。
むしろ、後発組の方が先行地の失敗や指摘を改善した上で認定を受けてきているのでレベルが高い。
他所の良いところを見たり取り入れたりせずに「自分たちはジオパークの先進地」とあぐらをかいていたら、どんどんガラパゴス化していくのです。
学び、進化する仕組みを作るには「対話」が大切。この対話とは、何もエリア内だけのことではありません。他のジオパークとの情報共有。他のジオパークの進化している部分を取り入れる謙虚さも必要です。
今後どうすればよいか
以下はあくまで今回のジオ談会に参加してみての私の感想。
民間でできるレベルでのお話です。
(1)他のジオパークを観に行くツアーを企画する
先日、南紀熊野ジオパークの皆さんが山陰海岸へお越し下さいました。我々も視察ツアーを行なうべき。各ガイド団体だけとか個人ではなく、山陰海岸ジオパークの視察&研修会として行うこと。
他のジオパークを見ましょう。交流しましょう。ガラパゴス化しないためにも。ガイドだけでなく、事務局、市町のジオパーク担当者、学術の先生方も一緒にいらして交流すること。今振り返ると、香美町もジオパークにどう絡んでいくかわからない時に、糸魚川に視察旅行に行って山側と海側のギクシャクも解消し、ブレイクスルーしました。
宿泊セットでの旅行をすることで、対外的にも対内的にもコミュニケーションが深まります。自分のところが先進地と思っている時点でもうガラパゴス化しています。新興ジオパークの方が準備は遅れていても考え方は先を行ってます。こちらが学ぶべきことの方が多いのです。
(2)ファシリテーション講座を開催する
これはうちのNPO、もしくはコムサポでやりたい。意見を集約して合意形成する。これが今、ほとんどない。されずに場当たり的にイベントをしているだけになっています。
自分と違う意見、異なる行動の人を”敵”だと思っている。まずは人の話を聞き、合意形成をするワークショップを連載講座で企画したいな、と思っています。もっともっとファシリテーション能力を持った人を地域に増やしていきたい。ジオパークとは関係なく、切実にそう感じています。もちろん、私自身もまだまだなので、身につけたい能力です。
個人的にはマーキーさんのファシリテーション講座をもう一度ガッツリ受けたい!!
(3)やっぱりジオ談会は大切
柚洞先生曰く、今回のような集まりを自主的に開催したことが大切、とのことでした。ただ、そんな場でもゲスト講師から教えを乞う、というスタンスは改めること。自分たちで考え、解決していこう。もっともっと現場に出よう。人と会おう。遠方のガイド同士でも時々会おう。
ちなみにGGNにせよ、JGNにせよ、認定で有利に思わせる見せ方、語り方のテクニック的な話も随分ありました。何といってもユネスコ世界ジオパーク審査員のお話を直接聞けるわけですから。
事務局の方が来ていたら、かなーり夏のGGNの審査、有利になる話がたくさん聞けたのになぁ・・・(笑)。
例えば、専門員が上司の許可がないと外に出られない(上司が外出の許可を出さない)ジオパークはダメなところが多いって話でした。専門員の行動がそうなっている時点で審査前にマイナスになる模様・・・。専門員という地域住民との「連携」窓口になるべき人が簡単に外出できないのですからそりゃそうですよね。
これはあくまで一例。会話の中に様々な「連携」を感じさせることが大切なんだそうです。それを逆に個々が頑張っているだけ、と感じさせてしまうのが山陰海岸の問題です。
今回のような集まりを事務局主導ではなく、民間有志で行ったことにも意味がある。再認定評価に向けての第一歩になっている。
「自分には今回の開催連絡がなかった」「こういった会をするならうちにも挨拶に来んかい!」と感じている方もいらっしゃるとか。
「情報は自分でつかみに行け」「挨拶云々の上下関係がある時点で連携不足、対話不足」。
ああ、過激な発言はこれぐらいにしておきましょう(笑)。
我々のような一般住民でもできること。
何をやって行けばよいのか。
光の見えてきた意義ある談話会だったと思います。
4月以降、色々と我々夫婦で出来ることはきちんと形にしていきたいと思います。
今回の談話会、ちゃんとしたレポート?!はこちらをご覧ください。
コムサポートオフィス代表
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