今日のお話は私が3年ほど前に気づいたことを再掲させて頂くようなお話です。(3年前にどこかに書いたわけではありませんが。笑)
海外OTAが群雄割拠する今の時代だからこそ、ぜひ一読をお勧めします。
宿泊施設さん。特にうちのような小規模宿泊施設さんに向けてのお話になります。
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
私のOTA遍歴
5年ほど前までは私も、ありとあらゆる宿泊予約サイトと契約していました。今はなき?!スマ宿、価格訴求のトク―にも登録していましたし、もちろん2強である楽天トラベル、じゃらんnetはどちらも。3番手であるるるぶトラベルにも部屋提供していました。
そうそう。私も元々は最初じゃらんnetしかやっていなかったのです。
楽天トラベルはスタートしたばかりの頃は、
レジャー系宿泊施設=じゃらんnet
ビジネス系宿泊施設=楽天トラベル
という構図がありました。(今もまだそのイメージを持っている方が多いかもしれません)
私も例外ではありませんでした。
また、10年前は
電話営業しかやってこない楽天トラベル。
直接訪問営業でITスキルの弱い宿にまで懇切丁寧にnet予約の仕組みを導入していったじゃらんnet
という構図もありました。
雑誌広告で小まめに地域営業をしていたじゃらん営業の方が、当時地方では強かった。
私の地域、香住もそうでした。多くの宿がじゃらんnetに参画。楽天トラベルに参画していた宿はわずかでした。
楽天トラベルの管理画面や集客手段は確かにITスキルがないとついていけない。いえ、ITスキルがというよりも”マーケティングを自ら勉強する覚悟”のない人には集客が難しい仕組みでした。私は楽天トラベルのカンファレンスやカレッジ講習に通ってその使い方をマスターしました。
毎回講習費数万円を支払って神戸や大阪、京都まで通う。そこまでやる覚悟のある人しか当時は楽天トラベルで売上を伸ばすのは難しかったでしょう。
今では楽天トラベルの営業さんの方が地方周りを積極的にされています。じゃらんnetの営業さんは昔に比べて少なくなっているので、多くの宿から不満が漏れ伝えられてきています。
まあ、じゃらんさんとしては雑誌広告営業が激減した分、地方巡業の回数が減っただけなんでしょうけどね。
雑誌時代に比べて地方営業マンが減ってきているじゃらんさん。事業拡大に伴いITC(地域営業マン)をどんどん増やしている楽天トラベルさん。
時代が変わると変わるものです。
いずれにせよ2009年の時点ではじゃらんnetからの年間売上は1千万円以上ありましたが、楽天トラベルは数十万円しかありませんでした。
それが2010年にはどちらも1千万円以上に。
2015年にじゃらんnetへの部屋提供をやめたわけですが、その前年のじゃらんnetと楽天トラベルの売上を足した金額と2015年の楽天トラベルの売上が大差ないところまで売上を構築することができました。
スマ宿やアゴダ等、ちょこちょこっとやってみましたが、元々ブログからの直予約がWeb予約としては確立していましたし、ニュースレターやお手紙からの電話予約も多かったので、OTAは当面楽天トラベルだけでOKという状況となって今に至っています。
2強の「じゃらんnet」と「楽天トラベル」について
国内OTA2強であるじゃらんnetと楽天トラベルとの付き合い方について。
まず、私の考えからお話しますね。
私のように1社だけしかお付き合いしない、というやり方は尖りすぎだと思います。
通常のお宿さんならば、どちらとも仲良くお付き合いされたらよいでしょう。
ただし、重点的に売上を上げるのは一つに絞った方が良いです。
なぜなら、掲載順位や売上に比例する部分の数字を上げるのに、工数投下できるのは我々小規模宿泊施設には限りがあるからです。
今月は楽天の売上が悪いな。
先月はじゃらんnetの売上が良かったな。
こういった会話ができるのは、客室数の多い大手さんだけだと思っておいた方が良い。
10室以下の小規模宿泊施設は注力する方をどちらかに絞るべきです。
片方で大きな売上が上がるようになった。次はもう一方の売上も上げようは無理。もう一方の売上が上がったら元の一方が下がります。
私の感覚ですが、現在片方が1千万円。もう一方が2百万円しか売上がない。2百万円を5百万円にUPさせるよりも、2百万円は現状維持のまま1千万円を1千3百万円にしてトータルで1千5百万円にする方が現実的です。
既に結果の出ている売上を更にUPさせる方が簡単で、現状少ない売上のOTAを一気にUPさせるのは難しいのです。
なぜか?それは売上が安定している方がクチコミを集めたり、PV数を上げて掲載順位を上げ、売上の更に上がる良い循環を作りやすいからです。
私たち中小零細企業は広告予算も何らかの仕掛けをする工数も限られています。大型宿泊施設ほどのコストや工数をかけられません。
小規模宿はOTAを1社集中した方が良いのです。
私は楽天トラベルに1社集中しましたが、2強のどちらに注力した方が良いかはその施設さんのかけられる予算と工数によります。更には狙っているお客様のカテゴリーにもよります。
あくまで傾向ですが、じゃらんnetの方がやや客層年齢が低いです。これは、楽天ポイントユーザーよりもじゃらんnetユーザーの方がホットペッパービューティーやポンパレモール等顧客年齢が低い傾向があるからだと思われます。
また、じゃらんnetのメルマガを見ても分かる通り「お得」フックの動線が多いんですね。楽天トラベルはどちらかというとスーパーセール時以外は「お得」よりも「とんがり」にフォーカスしたアプローチが多い傾向があります。
秋以降、楽天トラベルとの取引は全宿フラットになる
ただし、楽天トラベルが「とんがり」フックであるのはあくまで現時点でのお話です。9月以降の新しいサイトではカスタマイズページもなくなり、その部分は弱まることが予想されます。
9月からの楽天トラベルニューサイト
※トラベルボイスニュースより
ただ逆を言えば、全ての宿泊施設がフラットな状態でのスタートとなります。差別化ではなく独自化を今度の新サイトでどのように表現していくか、は今まで築きあげたものがガラガラポンとなります。
サイトリニューアルをきっかけに楽天トラベルに注力する、というのを頑張るのも一つの手です。管理画面は6月、早ければ4月には内容が明らかになります。詳細がオープンになり次第考え、手をつけた人勝ちです。
次の管理画面はITスキルの弱い方でも使い勝手の良いものであれば良いですね。
どっちからも利を得ようは小規模事業者のやり方ではない
なんだかんだ言っても海外OTAに依存して売上を確保する状態を作るのにはまだ時間がかかります。
国内OTAの2強、楽天トラベルとじゃらんnet、こちらに力を入れるのがセオリーです。
では、そのどちらに力を入れるか。
それはそのお宿さんがやりやすい方をやれば良い。
ただし、小規模宿泊施設は片方だけに注力すること。
どちらもから高い送客を得ようと思えば思うほどどっちつかずでどちらもの売上を落としてしまいます。
小さな宿というスタンスで考えていきましょう。