先日、山陰海岸ジオパークのガイド部会幹事会に出席してきました。
香住は大雪でしたが、豊岡はそんなでもなく。
有意義な話し合いができたんじゃないかと思いますので、話し合いの内容を書き留めておきたいと思います。
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、時にはNPOたじま海の学校の代表理事、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
今回はNPOたじま海の学校の代表として出席しました。
幹事会のテーマは以下の2つ。
協議内容
・ガイド交流会の実施内容について
・日本ジオパーク再認定審査の指摘事項への対応について
1点目のガイド交流会については下案もあり、スイスイと10分ぐらいで終了。2点目の再認定審査の指摘事項への対応についてにほとんどの時間が割かれました。
APGNにおける「構成団体間での齟齬」って何?
実は山陰海岸ジオパークの日本ジオパーク条件付き再認定(イエローカード)の結果報告書が最初に配られました。
この詳細は日本ジオパーク委員会
Webサイトにて公開されています(PDF)
実は今回、一番最初に書かれている指摘の具体的内容が抽象的でわからない、という話になったんですね。
それが以下の文言。
一方で、APGN の運営時にも構成団体間で齟齬があったように、個々の地域が活発的でありながら、ジオパーク全体や隣の地域との連携を欠いており、世界ジオパークとして持続的な運営形態になっているとは言いがたいものがある。
「APGN の運営時にも構成団体間で齟齬」って何だったんだろう。もっと具体的に言ってほしい、と。
どうやら会議中には「ガイドグループと学術部隊との連携がとれていなかった」と指摘されている方がありましたが、私はそうは思いません。少なくとも私たち夫婦が対応したバスはガイドチームと学術の先生との連携はバッチリでした。
私は当時のことを思い出しながら多分このことじゃないかな、という点をお話させていただきました。
これ、行政間によく生じる問題点です。
APGNは2015年9月に開催されました。
今だから言います。この時最も印象に残っているのは、アジア各国から参加された皆さんがとてもお疲れだった点。
いや、正直さすがにバスでの移動しながらのシンポジウムは大変だったと思います。
確か当初JGNは豊岡市(もしくは鳥取市)1市開催を要望していたと記憶しています。が、豊岡市と鳥取県で前後半の2部開催に。そうすると京都府が外れているということで、JGNガイドフォーラムを京丹後市で、と1府2県にまたがっての開催になりました。
なぜ、1市だけでの開催にならなかったのか。
山陰海岸ジオパークは1府2県からなる広域ジオパークだから生じた問題です。
行政にありがちな発想なのですが、1府2県を平等に配分しようとする配慮が働きます。これってJGN側からみればどう見えるでしょうか。
1か所開催できないということは、1府2県の連携がうまくいっていないのではないか。
各府県のメンツを保つために参加者に多大な負担をかけて移動させた、ということになります。
総じて日本の行政は縦割りです。横の連携が苦手です。市町、府県の連携不足はこういった平等に配分することで深い話し合いをせず、結果開催不備を招いてしまうのです。
加えて事務局長が兵庫県職員からしか出ていない。しかも2年おきに変わる。
個々の地域が活発的でありながら、ジオパーク全体や隣の地域との連携を欠いており、世界ジオパークとして持続的な運営形態になっているとは言いがたい
この文言にぴったり抵触していますよね。
つまり、山陰海岸は広域ジオパークでありながら、府県の壁があるという認識を持たれていた。去年行われた日本ジオパークの再審査の現地審査において、審査員が1府2県を審査してまわった際、APGN当時と全く変わらない府県の壁、移動ごとに全く異なるジオパークに来ているかのような印象を受けたのではないでしょうか。
山陰海岸ジオパークの問題は日本全体の問題である
今回、JGNが山陰海岸ジオパークに対して活動不足の烙印を押した。多くの人がそのように思っているようです。
私はそうは思いません。なぜなら報告書の続きに
このような仕組みは、山陰海岸ジオパークが 3 県にまたがるという多数の組織が関わるジオパークであることや、自治体が主導するという日本のジオパークであるからこそ生じる問題でもある。
と記載されているからです。
つまり、JGN自体もこういった問題が生じることはわかっているのです。実際先日開催された再審査で県をまたいでの広域ジオパークである三陸ジオパークもイエローカードになっていました。
協議会が広大な範囲を持つ三陸ジオパーク全体を統括的に管理・運営しているとは言い難い。地域および関係機関間の情報共有と連携が不十分であり、ジオパークの理解と活用が進んでいない。
まさに”連携”不足を指摘されています。
ということは、山陰海岸ジオパークに求められていることは何でしょうか。
日本で最初に認定された県をまたぐ広域ジオパークです。
日本の行政特有の問題であるこの横の連携をクリアした初めてのジオパークになりなさい、広域ジオパークの成功事例、お手本になって下さい。
という、叱咤激励のイエローカードなんじゃないかと私は思うのです。
世界ジオパーク再審査のある今夏までにどうすればよいか
私は一ガイドでしかありません。ガイドとしてできることは何か。
ガイドとして、自分の該当するエリアの説明ができることはマストです。
前回の世界ジオパークの再審査の際、私も夫婦でガイドをさせていただきました。
今思うと、この時は自分の担当エリアを解説することでいっぱいいっぱいでした。
例えば、山陰海岸ジオパーク内においてこのジオサイトがどういった位置づけで、他のジオサイトとの違い、共通点はどんなところがあるのか、といった話もできるようになること。
山陰海岸ジオパーク東西約120kmというのは広域ジオパークですが、地球規模から言えば狭いエリアです。日本海という比較的新しい海の海岸の狭いエリアに砂丘、火山噴火からできた安山岩、ユーラシア大陸にくっついていた頃の地層等、多様な地形・地質が見られます。
そうなんです。山陰海岸ジオパークのテーマは
日本海形成から現在に至る様々な地形や地質が存在し、それらを背景とした生き物や人々の暮らし、文化・歴史に触れることができる
ということ。
他のジオサイトと同じこと、違うこと。共通点と相違点をさりげなく紹介することで、他のジオサイトにも興味を持ってもらえるガイドができるかどうか。
ここにガイドとしてのイエローカードに対するアンサーがあるのではないかと思うんですね。
組織体制や運営に対して、ましてやJGNの指針に対して私たちがどうこう言うことはできませんし、それは決して前に進む意見にはなりません。
それよりも自分に何ができるのか。私のような一民間ガイドでも、今回の指摘を真摯に受け止め、その改善を自らのガイド力と山陰海岸ジオパークの成長の為にできることがあるんじゃないか。
今回のガイド部会幹事会に参加して、そんなことを思った次第です。
あと半年余りで私が、私のNPOができること。ガイドができることをしっかりとできるように準備しておきたいと思います。
コムサポートオフィス代表
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