去年の2月に続き、今年もたくさんのキャンセルのでた大寒波がやってきました。
でも、キャンセルってお客様が「行けない」って連絡くれるからまだいいんです。
私にとって宿の仕事で一番のストレスは、予約されているお客様が来ないこと。更にはそのお客様と連絡が取れないことです。
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
先日、海外OTAであるAgodaより、現地決済サービスを開始する、という通達が来ました。
これを聞いた瞬間の私の本音。
うーん。
今後ますます、海外OTAとの取引のハードルが上がった。
これが率直な気持ちです。
あ、あくまでコムサポアドバイザーとしてではなく、宿屋のオヤジとしての意見です。
なので、共感して下さる小さな宿のオーナーさん、女将さん、多いんじゃないでしょうか。
今では一般的になってきているOTA(Online Travel Agent)。
インターネット上だけで取引を行う旅行会社のことです。
予約の際、クレジットカードで先払いすることをオンライン決済。現地で宿泊当日に支払いをすることを現地決済と言います。
お客様と当日連絡の取れない、取りづらい外国人観光客に対してはオンライン決済での予約を原則としたい。宿側としてはそんな本音があります。
宿の仕事をやっていて一番のストレスって何ですか?
まず、これは小規模宿泊施設のオーナーや女将さんならとても共感していただけるんじゃないかな~というお話をさせていただきますね。
宿業をやっていて、日々の業務の中で一番のストレスって何でしょうか?
私は20年間やっていて一番のストレスは
予約されているお客様が来ない、連絡がつかない
これです。
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そんなことってあるのーーー
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日本人のお客様だけ対応していれば、滅多にありません。
でも、海外OTAから入ってくる予約、あるいは国内予約サイトでも外国人が現地決済で入れてくる予約には、いくら待ってもいらっしゃらない、ということがありました。
素泊まりではなく夕食を伴う宿泊が基本の日本旅館、民宿の場合、準備した夕食も無駄になってしまいます。連絡がつかない外国人の場合、どのタイミングでいらっしゃらないと判断するかが難しい。
実際、距離感を間違えていて、夜遅くに到着されるお客様もあります。オンライン決済の場合、お金を先に頂いているので、遅くなっても絶対にいらっしゃるという姿勢で待つのですが、現地決済の場合、疑心暗鬼で大きなストレスと共に待たなければなりません。
海産物の場合、季節によっては鮮度の問題で遅くまでお料理を置いておけない、なんて場合もあります。
このいらっしゃるかどうかわからないお客様をドキドキしながら待っているというストレス。私はこれがこの商売やっていて一番嫌いです。
なので日本人のお客様については、リピーターさんを増やすことで、信頼関係の高いお客様率を高めていくのがこういったストレスを軽減するのに役立っていると私は考えています。
1件のキャンセルが小規模宿にはダメージが大きい
以前、ブッキングドットコムのインタビュー記事で
キャンセルがあっても、それ以上に送客をするから問題ない
という意見がありました。
モリス氏は、「ユーザー第一を掲げるブッキング・ドットコムとして、ユーザーにフレキシビリティを提供するのが目的」と理由を説明した上で、次のように状況を語った。
「一定のキャンセルがあるのは認識しているが、需要の引上げと柔軟性のバランスだと思う。キャンセルが発生しても、ブッキング・ドットコムに掲載することで予約が増え、収益が高まったというフィードバックも参入施設からもらっており、パートナーのビジネスを十分にサポートできると考えている」。
キャンセルのリスクを超えたメリット、集客ができるという考え方だ。
現在、同社に掲載する宿泊施設は、大手チェーンホテルから個人経営のB&B、バケーションレンタルの民泊まで、世界200か国以上に約122万軒。日本では、外資系OTAとして、これまでインバウンド集客で注目されてきた同社だが、近ごろは日本人ユーザーの予約も拡大しているという。どちらも成長のカギは、宿泊施設の選択肢の広さ。今後の宿泊施設との連携拡大に注目したい。
これ、食事を伴わないホテル的な発想、ノーショーをくらう部署と回収業務を分割してできる大型宿泊施設だからこそ我慢できるやり方です。
悪いことをする人は一定量いる、それを容認してビジネスをしていくという考え方。おそらくブッキングドットコムだけではなく、海外OTAは全般的にこの発想を持っているのではないでしょうか。
キャンセルならまだよいです。ノーショー(予約しているのに来ない)は経済的にも精神的にもダメージが大きいです。
100室あるホテルではなく、宿泊を伴い、食材がカニのように高単価、更には1日5組ぐらいしか受けられない宿にとって。ひと月に1件あったら非常に大きなダメージになります。
年間数件あれば、相当なストレスです。
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全体から見れば数%でしょ?
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って言われるかもしれません。
でも、「現地決済」というのは信用取引、信頼売買です。
その信頼売買を裏切られた時のダメージは性善説の後払いで商売をやっている我々にとってはとてつもなく大きなものです。
この”痛み”を理解してもらえない会社と取引はしたくない。
海外OTAはこの”痛み”を察しない商売をされていると思っているのです。
中小零細宿の皆さん、どう思いますか?
それぐらいなら気にしませんか?
私と同様嫌ではないですか?
私の宿が100室以上ある宿ならば、1%以下のそういったトラブルは想定内にするかもしれません。
被害にあう部署、対応する部署を分散することでストレス分散も可能です。
でも、そのトラブルを家族で直に受け、実損率の大きい我々のような宿には海外OTAとの取引は向いていないんじゃないかと思うのです。
更にはグーグル内における広告の占領。
もはや、私のような小事業者がひとりであがいてもどうしようもない状況になっています。
インバウンド対応は今後どうしていくのか?
拡大戦略よりも縮小戦略。
人手もないこれからの時代、今までと同じやり方は通用しません。
それでも拡大戦略、売上を伸ばしていきたのであれば、インバウンド(外国人の受け入れ)は避けられません。売上を伸ばさずとも、5年後、10年後も宿泊業をやっていきたいのであれば、受け入れて行かなければならないかもしれません。
まず言えるのは、今のお客様を大切にしなければならないということ。外国人でも日本人でも、新規顧客を増やしていく方向性なのか、常連率を高めていく方向なのか。
新規顧客を増やしたいのであれば、今後インバウンドに振り切った方が短期間で結果を出すことが出来るでしょう。
ただ、その際に海外OTAを活用して、先述したようなストレスを受け入れて商売を行うか。それともこのストレスが解消る方法を考える努力をしていくか。
その選択と覚悟が必要になります。
多くの小規模宿泊施設が感じているインバウンドへの抵抗。
言葉の壁ではありません。
ズバリ、このキャンセルに絡むストレスの壁です。
商売はお金を頂いてゴールです。
その商売、本当に最終的にお金がもらえるのか。
キャンセル料請求もどうやってやれば良いかわからない事業者さんも多いかと。
海外のお客様対象に現地決済ということは
「お客様がいらっしゃらなければ泣き寝入り」
です。
海外OTAの実態を知れば知るほど、我々家族経営の日本人には取引したくない考え方であるという本音が出てきます。
そう感じているのは私だけでしょうか。
コムサポートオフィス代表
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