先週、民泊に関する大きなプレスリリースが2つありました。
【速報】リクルートが民泊事業参入 Airbnbと業務提携 SUUMO、賃貸管理企業や賃貸オーナーに「民泊」の選択肢提供
【速報】楽天LIFULL STAY、3月15日から民泊物件の登録受付開始 合法物件のみ取り扱い 「楽天トラベル」にも物件供給へ
リクルートさんがAirbnbとと提携してSUUMOの在庫流用、楽天さんはLIFELL STAYで在庫募集して楽天トラベルのサイトにて販売、という、大手予約サイト運営会社が民泊との連携を宣言した内容です。
もちろん、どちらも合法物件しか登録されないことが前提でしょう。
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
今日はズバリ、私が最近感じている”民泊の正体”についてお話したいと思います。
旅人としてみれば民泊は歓迎
宿事業者の多くの方が「民泊」について反対している。
そんなイメージってありますよね。
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ガクさんは宿事業者として民泊は反対ですか?
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私は特に賛成でも反対でもありません。
様々な業界で多様性の時代です。そんな中で今のトレンドはシェアリングサービス。空き室利用を効果的に行う民泊の考え方はそんなに悪いものではないのでは、と思っています。
宿事業者としてではなく、旅好きな一個人としては、若い頃に民泊があったら助かっただろうなぁ~って思います。
例えば、繁忙日に人気エリアで宿泊をとりたい時。近年ではアイドルのコンサートや各種イベントがあった時に旅行会社が一気に部屋を押さえてしまってものすごい値段で販売する、ということがあります。
以前、ある地域のジオパーク全国大会に参加した際、受付は旅行会社一括になっていて、民宿の素泊まり1泊2朝食付が確か2人で1部屋2万5千円以上しました。
恐らく普段は朝食付1泊一人4~5千円。1万円で2名朝食付で宿泊できるクラスのお部屋です。
今年のジオパーク全国大会は北海道の様似町。既に様似町の宿泊施設は旅行会社が押さえているとか。多分ぶっ飛ぶような金額になってくるでしょう。でも、今年の秋の話ですから、近隣のえりも町等の民泊物件もこれから出だすので、ぼったくり価格で無理に宿をとらなくても良いのではないかという話になっています。
繁忙期を法外な価格で販売する。ほとんどの場合、旅行社が高値販売しているだけで、宿側には通常の販売価格しか入ってきていないことが多いです。
また、宿によっては自社でそういったイベント日を高くで販売する、ということをやっているところもあるかもしれません。レベニューマネージメントというのですが、こういったやり方が出来なくなってくるんじゃないかなって感じています。
これらの相場師的な販売手法はなくなって行ってほしいなと個人的には思っています。そういった意味で繁忙日やイベント日の緩和に民泊が役立ってくれるのでは、と旅人目線で感じています。
確か、2002年の日韓W杯の時に韓国がその時だけ民泊受け入れをしていたような。
これで困るのは宿よりも実店舗を持つ旅行会社なんじゃないかなぁと。お客様は益々OTAと呼ばれる宿泊予約サイトの方へ益々シフトしていくことになりそうです。
旅行会社離れ、予約サイトへの移行が
益々加速するのではないでしょうか。
民泊の問題点は提供者側、利用者側それぞれのモラル
これまでも友達の家に宿泊したりってことはあったと思うんです。それが見ず知らずの人の家に泊まるということになる。
旅館業法の認可を受けて商売としてしている我々はモラルを持って商いをしています。が、民泊物件は非合法な場として活用出来たり、あるいは盗撮盗聴など様々な問題が起こっているのも事実です。
あるいはマンションなどだと、見ず知らずの人が一定期間ごとに人が入れ替わるわけです。近隣住民としては物騒ですし、実際にゴミや騒音等こちらも様々な問題が出てきています。
元々外国人観光客増加に伴い、宿泊施設が足りない。民泊を合法にして対応して行こう、という狙いでスタートしたのですが、実情は異なります。
例えば、こんな記事がありました。
えっ??!星野リゾートが民泊参入??
ですよね。
でも、
使われない空き家を放置すれば「かえって別荘地全体の環境を劣化させる」としつつ、民泊で家屋の管理が行き届けば「より魅力あふれる地域になる」と主張。
というのは、同じ田舎の現状を知る者としては一理あると思うんです。
私の宿の周辺もどんどん空き家が増えてきています。
民泊に限らず、これらの有効活用を考えないと地域の未来はないと考えます。
民泊は観光の為ではなく不動産業、建設業の為のもの
でも、今の民泊は観光の為ではありません。
不動産業界の売れ残り対策、これからも無理やりマンションを建て続けたい建設業者の都合
と言って良いでしょう。
少し前、不動産投資、マンション購入からの運用セールスメールが頻繁に来ていた時期がありました。
民泊運用すればマンションを資産とできる、みたいな。
でもね・・・
それが嘘であることは明らかです。
今や都市圏の空き家率は10%近くあります。
藻谷 空き家も大量に発生します。3年半前の総務省の調査では、一都三県には空き家が203万戸もあります。全国の空き家の4分の1が首都圏にあるのです。一戸に2名住むとして人口が400万人増えないと埋まらない。でも過去5年間の増加は51万人で、しかも80歳以上しか増えていない。
こんな現状があるにもかかわらず、新築マンションは建て続けられています。
空き室を埋めていきたい不動産業者の都合。
これからも都市圏にマンションを建てていきたい建設業界の都合。
繰り返し言います。
民泊は観光業のためのものではありません。
不動産業界、建設業界のために強引に推し進められている感が強いです。
観光の為の民泊実施ならば私、反対はしません。
合法でルールを守り、場合によっては地方の空き家対策にもなれば、とも思っています。
でも、都市部のマンションの空き家対策として進めるのであれば、観光業にとってプラスとは言えません。
必要のないものを作ってその販売、活用手段として、我々観光業のモラルを低下させてほしくないというのが正直なところです。
民泊は観光の敵ではありません。でも、民泊を流行らせようとしている流れは、日本における観光の敵である。それが観光業に携わる私の実感です。
コムサポートオフィス代表
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