昨日お話しした「テーマ」と「トピック」の違いについて。実はこれ、各ジオパークにおけるテーマにおいても同じことが言えます。
昨日のブログ記事はこちら↓↓↓
今回、様々なジオパーク関係者とお話しすることができ、
なぜ、山陰海岸ジオパークは日本ジオパークの審査で
条件付再認定(イエローカード)になったのか
の核心部分を感じることができました。
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
イエローカード直後の全国大会。これまでとはちょっと足取りが違いますよね。先行地域として事例の数々をお話ししてきた私たちがイエローカードなわけです。でも、イエローカードになった理由の部分を読んで
その一方で、ジオパーク内のあらゆるレベルでの連携を欠いており、ユネスコ世界ジオパークとして持続的な運営形態になっ ているとは言いがたい。
という部分や後日さらに詳細に発表された内容を読んで、
山陰海岸ユネスコ世界ジオパーク 再認定審査 現地審査報告書(公開版)
これは我々の活動の問題よりも、事務局体制の問題が一番大きい、と感じていました。いわゆる行政、自治体は縦割りで横の連携が苦手という問題点が浮き彫りになったんだ、と解釈していたのです。
山陰海岸ジオパークがイエローカードになった本当の理由
今からお話することはあくまで私見、私が色々な方とお話して感じたことです。そうではないかもしれません。が、私はこう解釈したということです。
昨日の「テーマ」と「トピック」のお話を思い出して下さい。テーマにはストーリーが必要です。
今、日本にジオパークは43か所あります。それぞれに「テーマ」があります。それ、トピックになっていないでしょうか。結果として地域全体のガイドがそのテーマを共有できているでしょうか。
例えば山陰海岸ジオパークの場合。
日本海形成に伴う多様な地形・地質・風土と人々の暮らし
このテーマ。実は日本海側のジオパークであればどこのジオパークでも使えるテーマです。例えば、豊岡ジオパークというのがあれば「湿地帯から生まれた産業・文化、コウノトリの野生復帰」というテーマが良いかもしれませんし、鳥取ジオパークならば「砂丘を生みだした中国山地と河川の力と恵み」なんて感じになるのかも。これを一緒のジオパークにしてしまうと、どこでも使えてしまうテーマになってしまっています。
言うならば、
大陸から離れた列島の多様な地形・地質・風土と人々の暮らし
としてしまうと、日本列島全てが一つのジオパークに出きてしまうのです。
なぜ、こんなネガティブなことを指摘するのか。
実は山陰海岸ジオパークのイエローカードの件についての本質がここにあるのではないかと感じたのです。個々の地域は頑張っている。でも、連携はとれていない。この連携がとれていない、というのは自治体や事務局だけの問題ではない。山陰海岸内で特定ジオサイトに行っても、他のジオサイトとのつながりが見えてこない。
これをつなげるには明確(より具体的)なテーマ、トピックではなくテーマが必要です。
テーマはエリア内どこの誰もが共有しないといけないことです。でも、自分のジオサイト以外は他所のエリア的な認識。他府県をまたぐ広域ジオパークは自分たちのエリアだけの特定テーマを持たないと「連携」できません。
何が具体的で何が抽象的か。
わかりやすくいえば、同じ3県にまたがる広域ジオパークの「三陸ジオパーク」。
悠久の大地と海と共に生きる~震災の記憶を後世に伝え学ぶ地域へ
この地でないとテーマにできない「震災」というキーワード、ストーリーがあります。
一方で山陰海岸ジオパーク。「日本海形成」という日本海側のジオパークならばどこでも使える抽象的なテーマを掲げる中で
ジオパークを使って地域全体をどうしたいか
これが見えてこない、という指摘なのです。
各ジオサイト、各府県、市町での”どうしたい”はあっても、山陰海岸ジオパークエリア全体としての”どうしたい”が見えてこないのは痛いところではありますが、納得の指摘です。
事務局体制における横のつながりを強化すればよい、というだけの問題ではないです。
今回、この「テーマ」と「トピック」の違いを学び、様々な方とお話をすることで、なぜ今回山陰海岸ジオパークがイエローカードになってしまったのかの本質が見えてきたように思います。
ジオパークを使って地域全体をどうしたいか
だからどうする、はこれからですが、指摘事項の本質を理解しておかないと改善はできません。単に事務局体制の問題、とだけ思っている人も多いかもしれませんが、私はもっと本質的な部分であると理解しました。
そんな核心部分を理解できた今回の秋田遠征でした。
コムサポートオフィス代表
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