独自化している弘前市の旅行会社「たびすけ」☆西谷雷佐さんのネット講演を聞いて〜観光ガイド論3

セミナー・講演会聴講

昨日は名古屋まで遠征。ツヴォイ(坪井秀樹)さんのセミナーに参加してきました。本当はそっちの振り返りも書きたいんだけど・・・


ツヴォイさんといえば「独自化」

そちらの方は明日、改めてガッツリ書かせて頂きますね。和歌山大学の講座のお話を続けます。今日のお話は旅行業におけるまさに「独自化」に関する内容です。

 

おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。

ネット講演をあなどるなかれ。その場に当人はいらっしゃいませんが、学び、気づきが続々あります。

少なくとも一人で1つの目から鱗的な気づきを書きたいと思います。既に2つ書きましたがすごかったでしょ。今日もまたハンパないお話をフィードバックさせて頂きます。

今日の登壇者は4日間の講演の中でもっとも笑いの多かった弘前市の旅行会社「たびすけ」をされている西谷雷佐さんのお話からの気づきです。


青森県弘前市の旅行会社さんです!

旅行会社とは、宿や交通機関の手配、ツアーを企画して販売している事業者、というのが多くの方の共通の認識だと思います。

考えてみると、旅行会社って日本ではとても難しい商売。実際、大手旅行会社の多くが赤字で苦しんでいると言われています。なぜ、日本では難しいのか。昔のように団体旅行を多くする時代ならば旅行会社のニーズってあったんです、でも個人旅行の多い今の時代、「手配をする手間」だけでお金を支払ってくれる人は少なくなったんですね。飛行機や宿泊施設などは旅行会社を介さずとも最安値で取れる時代になったのですから。

元々日本人ってソフト(アイデアや企画)にお金を支払う文化がないです。

そんな中、旅行会社はどう生き残っているのか。お金を払ってでも参加したいと思わせる企画力、独自性が重要です。特に地方にある旅行会社は、自分のまちの魅力をどう編集をかけてよその人である旅行客に魅力的に見てもらえるようにするかが大切になります。

独自の「編集力」たびすけさんのユニークツアー

とにかくたびすけさんの企画されたツアーがハンパなく面白い。独自性があります。地域に当たり前にあるものを独自の編集力で、お金のとれるエンターテーメント性の高いツアーに変身させています。

事例1)普通の特産品に”編集”をかける

例えば、青森と言えば多くの人がりんごを思い浮かべます。でも、「りんごの収穫体験ツアー」を企画しても収穫期しかツアーが組めません。

りんご栽培は剪定が命と言われています。なので、剪定を体験してもらうツアーを作る。でも、それだけだと面白くありません。

剪定した木をマキ代わりにして、焼き林檎を作る。もちろん、収穫期にも来てもらえるので年に2度お越しいただける。

ここにたびすけさんのコンセプトがあります。


素材のまま提供しない

お客様が旅に求めるのはエンターテーメント性です。「素材のまま」提供してもそこにエンターテーメント性は生まれません。これ、耳が痛いですよね。地元のメイン食材や景勝地に頼っているだけなく、自分独自の編集をかけてエンターテーメント化する癖を持つこと。これってとても大切ですが、私もついつい素材だけで勝負してしまっています。


編集によって地域の魅力を高める

自分独自の編集をつけるクセをつける。これってとても大切なことです。

 

事例2)人気のお花見ツアーにキャッシュポイントを

弘前と言えば桜が有名です。でも、そんなお花見も地域にお金を落としているとは言い難い。先の藻谷さんのお話でもあったようにお客様はたくさん来たけど、お金はほとんど使ってもらえなかった、では「観光」が「地域振興」にはなりません。むしろ、落としていったゴミの処理代の方が多くなってしまうくらいです。


「キャッシュポイント」という考え方

例えば、このお花見。特等席を用意しておく。そこでの宴会の用意をしておく。更にはその接待を忍者が行う。


忍者が接待してくれるお花見

独自性ができあがり、お金をいただける、地域にお金が落ちるお花見となります。それがキャッシュポイントとなるわけです。

事例3)ターゲットを絞り込んでハッシュタグで集客

集客方法もとんがってます。お城好き、歴史好き、忍者好きな女性に向けた企画。その中でも「刀好き」の女性に向けて、刀を作っているところ、刀の使い方、実際にお城でコスプレして刀を使ってみるツアーというのも開催されたそうです。


刀剣ツアーin青森


実際に刀剣体験も

このようなマニアックなツアーをどうやって集客するのか?ツイッターを活用されているそうです。

ツイッターにはハッシュタグという興味のある人だけが検索する機能があります。

#刀剣 #刀剣女子 といったようなハッシュタグで投稿することで、その情報に興味のある人にお金をかけずに伝えることができます。

もちろん、たびすけさんのツイッターの日々の投稿が面白いので多くの人が目にしている、ということもあります。

たびすけさんのツイッター
↓↓↓
https://twitter.com/rai248

ツイートを見ていると時々笑っちゃうような企画やアイデアの素が登場します。

「なに、これ面白い企画!!」

ってなったらついついリツイートする人もでてきますよね。

ニッチな情報でもそれを好きな人たちが集うコミュニティに情報が届けばいいわけです。コミュニティの人たちがオフ会的にツアーに乗っかってきてもらえれば最高ですよね。

効率よく情報発信されていて、SNSをうまく活用されていると思いました。

事例4)炎上企画?!「短命県体験ツアー」

そんなSNSで炎上した?!人気企画ツアーが下記の短命県体験ツアーです。


「青森県がお前をKILL」って・・・(笑)

青森県は短命県でもあるそうです。その理由は濃い味付け。何にでもお醤油をかけて食べる文化。


お漬物にお醤油ドバドバは必須

もちろん、ラーメンを食べる際も・・・


汁まで残さず飲んでください!!

少々自虐的ではありますが、地域の「負」のデータまでも逆転の発想で観光ツールにしてしまうこの編集力。すごいですよね。賛否あったそうですが、ここまでとんがらせることで話題にもなるし、面白いと思ったお客様が集まるわけです。


醤油文化→暮らしぶり→紹介することで価値に
(短命県であることからの独自の編集)

独自の編集に挑戦する行動力

いかがでしょうか。全てのものが地域において当たり前のように”あるもの”を活用されています。4つしか紹介していませんが講義の中では他にも「津軽ひろさき雪かき検定」や「津軽錦石拾いツアー」「津軽路地裏探偵団」などが紹介されていました。

割愛しますが、これらもそれぞれこの場で紹介したかった魅力的なコンテンツです。


りんご農家専用軽トラック「バゲ」
乗車体験は私もやってみたい


半ケツの少年の銅像も見てみたい

ただここで大切なことがあります。これらの企画、次々にヒットしたのではなく、様々な企画の中から上記のようなヒット企画となったのは1割程だそうです。

つまり、このヒット企画の裏にはたくさんの失敗があるということ。もちろん、地域の人、周囲からは

「そんなもん売れるわけない」

「そんなことして何になるんだ」

という批判もたくさん受けたそうです。

これ、Satoyama Experienceで山田拓さんが「何もない田舎の風景を外人に見せてお金を稼いでいる(騙している)」と言われた構造に似ていますよね。

周りの批判に打ち勝つ力(気にしない力)。失敗してもめげないメンタリティが必要になります。


「とにかくやってみる」行動力の大切さ

ここまで3人のネット講義の紹介をしてきました。ヤバいでしょ。どの方の元にも実際に行ってみたくなります。いえ、ぜひとも実際に行ってこれらのツアーを体験してきたいと思います。

二日目を終了して既に飛騨、三豊、弘前と行きたい、行くべき場所が3箇所もできてしまいました。

 

コムサポートオフィス代表
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