誰にでもその人にしかない独自の価値がある。
それを見つけて自分の商売と掛け合わせて編集をかける。
エクスマと出会い、他のお店・宿と差別化を図るのではなく、独自化していく大切さをしりました。
お店で難しかったら個人で。個人ならば好きなこと、趣味、夢中になっていることを仕事と掛け合わせることで独自性が出ます。
大きな企業よりも小さな企業、特に個人事業主ほどこのやり方はやりやすい。
ホント、そう思います。
自分にとっての独自性は何か。そんな話をするのがこのコムサポブログでは普通なのでしょうが、今日はお盆なので、あえて広げる方の話。地域の独自性についてお話ししたいと思います。
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
地域の独自性って可能なのか?
独自性は会社よりも個人、絞るほど出しやすくなります。逆を言えば市町村、まちの地域性を独自化させるのは難しい。
ただ、考えてみると周囲に地域で独自性を出しているまちがあるじゃないか、ということに気づきました。
今日は2つ挙げますね。
浴衣の似合うまち”城崎温泉”
城崎温泉は私の生まれ故郷です。15歳まで過ごしました。まちを歩くと浴衣姿のお客様が普通に歩いています。お客様が風景の一部になっているのが城崎温泉の特徴です。
浴衣の似合うまち、浴衣姿で多くの宿泊客がまちに繰り出す借景。これをどのようにして作っていったか。
そこには地域でしっかりとした共通認識があるわけです。
そのコンセプトとはまち全体を一つの旅館としてとらえるということ。
駅=玄関、道路=廊下、旅館=客室、外湯=お風呂、土産屋=売店
と言った感じです。そのため、外湯が徒歩圏内で7つもある。
各旅館では大きなお風呂を作ることが禁じられ、原則外湯を楽しんでいただくことでまちを浴衣で歩いてもらう仕組みができているのです。
こうしたコンセプト作りを古くからやっていることが城崎温泉のまちとしての独自性を作り出しています。
簡単そうに見えますが、地域が同じ共通認識でやり続けるって簡単ではないですよね?
コウノトリの棲むまち”豊岡”
近年の取り組みで新たな独自性を打ち出した例もあります。この取り組みはスゴイ。おそらく全国的に見ても地域の成功事例なんじゃないかと思います。
野生復帰を実現した”コウノトリ”が町のシンボルに
生息環境の悪化により1971年に日本の空から姿を消したコウノトリ。豊岡市はこのコウノトリの野生復帰に取り組み既に100羽近くのコウノトリを野生に放鳥しています。
コウノトリの棲むまち。このことにお金をかけることは無駄でしょうか。私はものすごい経済効果があると思っています。以下は豊岡市の公式サイトからの抜粋です。
コウノトリも棲める豊かな環境の創造
大型で肉食の鳥・コウノトリが野外で生息していくためには、餌となる生きものにあふれた「豊かな自然」と、コウノトリを人里の暮らしに受け入れる「大らかな文化」の両方が必要です。 つまり、「コウノトリが棲める」ではなく、私たちの暮らしのありようを含む「コウノトリも棲める」環境を再生し、創造していくこと。それこそが、このプロジェクトの最大のねらいなのです。
近年、天然、自然素材とか身体によいもの、ことがよく言われています。コウノトリが野生復帰できるほどの自然豊かなまち、というイメージを豊岡市は手に入れました。と、同時にコウノトリと共生する大らかな文化、心優しい市民の住むまち、というイメージも手に入れたのです。
これって、どんなにお金を払っても簡単に手に入れる事のできないイメージブランドです。地域の事業者はそのイメージを使って商売ができてしまう。これってスゴイことであり、素晴らしいことだと思いませんか?
”コウノトリ”をフックにして様々な産業が生まれている
実際、「コウノトリ育むお米」のような無農薬米の生産がどんどん増えています。
沖縄のスーパー「サンエー」で販売されて
いるのを見た時にはビックリ!!
サンエーの社長が豊岡市のコウノトリ野生復帰の取り組みとそのコンセプトに共感し、沖縄の全店舗で販売されているそうです。
日本中探せば美味しいお米は他にもたくさんあります。そんな中でもコウノトリ育むお米を扱っているのはそのコンセプトにあります。
「無農薬」とか「オーガニック」といったような言葉にはわかりやすさがありますが、そこに説得力を持たせる”武器”をまちのコンセプトが作ってくれているのです。
考えれば考えるほどスゴイこと。
商売をするにあたって一番難しいのはコンセプトづくりです。自社の独自の価値をわかりやすく伝えられるようになること。
例えば”カニの宿”とだけ言ってしまうと山陰海岸内だけでも数百軒あります。その中でどう独自性を出すかとても難しい。
同様に「自然豊かなまち」と言っても、今の日本、どこの田舎へ行っても自然は豊かです。
人口減少、Iターン、Uターン。どうやって人口を増やす?いえ、増やすことは難しい。どうやって減っていく曲線を少しでも緩やかにしていく?
「選ばれるまち」「憧れられるまち」になることです。
その為には独自化されたコンセプトが必要。
「コウノトリの野生復帰」はまさにまち全体を独自化させ、新たな産業を生むコンセプトになりますし、人を集めるための他にない価値となります。
中には批判的な住民もいます
私がそのこと以上に「コウノトリの野生復帰」がすごいと思っているのは、このコンセプトづくりのために市のお金を使っていること。
今、どこの自治体も財政難です。豊岡市だってそうでしょう。実際、「コウノトリにお金を使うぐらいない商工業にもっと予算を!」「福祉や教育に!」と反論される方の意見をよく聞きます。
限られた予算を目の前の施策につぎ込めば、とりあえず地域の運営は循環するかもしれません。でも、数年後、今よりも財政難になった時に自力で運営するための地域としての独自性を持っているか。
数年後には活用されていないとわかりきっている公共事業に何億ものお金を投入して滅びの一途をたどっている自治体が現時点でも山ほどあるのです。
地場産業に力を入れるのは大切です。でも、産業は突然なくなることもあります。私の地域(日本海の海沿い)の場合、もしも数年後カニが水揚げされなくなったら。海産物が手に入らない状況になったらどうすればよいかを常に考えなければなりません。
長期コンセプトを作るために予算を投入できるまちは強い。今ある観光資源、地場産業がダメになっても、野生復帰を実現した豊かな自然とそれを受け入れた大らかな人々の暮らし、という地域性は失われません。それを軸にした産業をまた考えればよいだけです。
今ある資源を失った時に代わりのものを生み出せる力があるかどうかはそこに住む人たち次第。このコンセプトに批判的な人たちはきっと生み出す力のない人たちです。
優れたコンセプトとやる気のある人がいれば、人は何だって生み出せます。
まちのお金を産業振興よりもコンセプトづくりに使えるまちは強い。
奇しくも以前、民間企業ならば、広告代よりも人材育成にお金をかけている会社の方が強い、というお話をしたのと同様に感じます。
個人よりも会社、会社よりもまち、と大きくなるほど独自化はしづらいです。でも、こんなに身近にまちを独自化させたお手本があるんだなぁ~と再認識です。元々からある資源だけに頼っていてはダメなんですよね。
コムサポートオフィス代表
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