何で2年前に発売された「新・観光立国論」を今になって読んだの?
以前から読みたかった本だったのですが、来月7月7日に続編が発売になるって聞いたので、それまでに、と慌てて読みました(笑)
こちらの本も待ち遠しいです!!
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
新・観光立国論の中でデービッド・アトキンソン氏の提言。
観光の中でも国宝、重要文化財を見せる(魅せる)ことに特化すること。
その際、一つ一つの作品、場所を丁寧に説明すること。この説明が日本の観光ではお金もかけられていないし、弱いとのことでした。
説明が弱いとは?
日本のインバウンドにおいて弱いのは文化財に興味を持つヨーロッパ、オセアニアの富裕層。この層に弱い理由は文化財の保護保全にかける予算が他の国の10分の1以下だから。ゼロが一つ違います。
そのため、日本の文化財は保護、補修費程度にしか予算が組まれていない。お金をとれる魅せる演出にお金をかけていない、更には外国人にもわかる詳しい解説がされていません。
そもそも日本の文化財はフランスのベルサイユ宮殿やイギリスのバッキンガム宮殿のように見ただけで息をのむ、と言われるほどのモノは少ない。神社仏閣ならば、他のアジア諸国にももっとすごい史跡がたくさんあります。
そこで、その史跡にまつわるエピソードをどれだけ面白く説明できるかにかかってきます。書籍内では二条城についてを例に解説されていました。
二条城と言えば、大政奉還が行われた場所。大政奉還、江戸幕府の終焉といえばどれほどすごいことか、日本人ならば誰でもピンときます。
でも、外国人にはそういったバックボーンはありません。歴史や文化の重みがあってはじめてその風景に感動が加わります。これがなければ「日本建築らしい古い建物」で終わりです。
この解説が日本の場合、他国の史跡に比べて不十分ということなのです。
そう。日本人なら当たり前で知っていることをべースに書かれた解説文を英訳して看板やパンフレットの説明文章にしてしまっているのです。
この話はふぇ~って感じです。
更にお話が人の問題、ガイドについても言及されています。
ガイドや入館料が安すぎる!
その為に必要なのはやっぱりお金なんです。説明看板やパンフレット。それの多国語対応。更には現地のガイド。このガイドも多国語対応しなければなりません。
奇しくもこの本に書いてあったのがボランティアガイドの弊害。
詳しくは239ページから「ガイドの有料化」という項目で書かれています。
国から文化財の保護に出ているお金は必要最小限でしかない。出ないのであれば地域で稼げ、ということ。
この部分を読んでいて感じたのは、日本の場合、予算がどこかから出てくることありきで物事を考えてしまう傾向があるということ。
ガイドをボランティアで考えるというのは施設の運営・維持費は自治体や国が持ってくれる、ということが前提になっています。
これだと、自分たちで地域の宝を守っていく危機感は出て来ませんし、無料のままではガイド自体のクオリティも上がりません。
案内看板にせよパンフレットにせよ、お金があればきめ細かく対応できます。そのお金を自分たちで稼ぐことから避けるために「ボランティアガイド」に逃げている、と言ってしまうと言いすぎでしょうか。
ガイド料やパンフレット代をしっかり徴収する。場合によっては入館料自体を上げる。これによって増えた収益でさらにより良いコンテンツを作り上げていく循環を作らない限り存続はできません。
お金を稼ぐことを放棄してしまった時点でより良いコンテンツ作りに向かって行かなくなるというのも至極納得してしまいました。
やっぱ、ガイドの有償化は急務なのです。ガイドが稼いだお金を報酬としていらないというならば、施設の維持経費に充てればよいのです。
私はガイドで食べていく若い人たちが増えてほしい、という思いからガイドの有料化を支持していますが、ガイドをボランティアでやってしまう背景に、地域づくりは国や自治体のお金がやってくれるもの、という甘えの構造がある、ということをこの本を読んで気づかされました。
いずれにせよ日本人には”観光で稼ぐ”という意識が弱いことが一番の問題である、とこの本入っているんだな、と感じさせられました。
とても参考になる点もありましたが、具体的にすべきことよりも問題点(よく言えば改善点であり伸びしろ)中心の書籍でした。
そういった意味ではこの本を読んだ後、具体的な行動を示している「観光立国の正体」を読むのがおススメです。
また、この本の7月7日に発売される続編を楽しみにしたいと思います。
コムサポートオフィス代表
今井ひろこのブログはこちら
お問い合わせもこちらから
↓↓↓
今井ひろこドットコム