先日、衝撃的なニュースが入ってきました。
若桜鉄道 山田社長が退任 後任は小林町長
第三セクターの若桜鉄道(本社・鳥取県若桜町)は14日、同町内で取締役会を開き、山田和昭社長(53)から辞任届が提出され、これを承認した。後任の社長に小林昌司若桜町長(72)が選任され、株主総会で発表した。
山田前社長は観光収益を増やすことで地方鉄道を再生させるアイデアマン。記事中にもありますが
利用者減少による経営難の改善を託される中、蒸気機関車(SL)走行の社会実験やピンクSL、隼(はやぶさ)バイクのラッピング列車など、斬新なアイデアの企画を次々と打ち出し、全国から注目を集めた。
といった様々な企画で赤字幅を大幅に削減し、今後の鉄道運営に新たな道筋をつけられました。
そんな山田前社長が退任のご挨拶に私たち夫婦の元へも昨日わざわざお越し下さったのです。
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
昨日は退任のご挨拶で但馬(兵庫県北部地方)を周られていたとのこと。
若桜鉄道のある鳥取県若桜町は氷ノ山という山を挟んで香美町、新温泉町、養父市とも隣接しています。実はお隣の町なのですが、その縁もあって山田前社長は就任時から積極的に但馬方面へもネットワークを広げておられました。
そのご縁もあり、私たち夫婦も懇意にさせて頂いています。1月に城崎温泉で山田桂一郎先生の講演会を開催した時も、一緒に登壇して頂きました。
2017年1月23日西村屋ホテル招月庭にて
後列中央が山田前社長
今回、そんなあいさつまわりの場であったにも関わらず、私は図々しくもこの時とばかりに今回のトワイライトエクスプレス瑞風フィーバーを地方はどう活かしていけばよいのかを鉄道を活用した地域活性化の専門家とも言える山田前社長にお聞きしました。
私が瑞風フィーバーに持った違和感
先週の土曜日、トワイライトエクスプレス瑞風が山陰海岸を運行しました。1泊2日27万円~、10両編成30名ちょっとで満員となる贅沢な超豪華クルーズトレインです。
これだけかっこいい車両が我が町を通過するわけです。ワクワクしないわけがありません。
ただ、その反面違和感もありました。主に2つ。
瑞風に経済効果ってあるの?
停車駅は限定され、1回のクルーズで30人ちょっとしか乗車できない列車。乗客が城崎温泉で途中下車されますが、その程度で経済効果はあるのだろうか?むしろ、全く経済効果のないものにまちを挙げて歓迎セレモニーをやっている違和感。何のため、誰のためにやっているのだろうか?
歓迎セレモニーって意味があるの?
京都駅の出発から始まり、城崎温泉駅、香住駅、浜坂駅、東浜駅と歓迎セレモニーがありました。ただ、その歓迎セレモニーというのが子供の歓迎、ゆるキャラ、踊り、とどこもほぼ同じもの。
お客様が子どもでも大人でも、一般庶民でも富裕層でも同じ歓迎の仕方。これっておもてなしと言えるのだろうか?
そんな違和感を持ちました。
そもそも、瑞風に地方の経済効果はあるのか。もしも経済効果を起こすとすればどうすればよいのか。鉄道による地域活性、鉄道観光のプロフェッショナルである山田前社長に思い切ってお聞きしてみたんです。
瑞風がお金を落とすのではなく、 瑞風で地域をブランド化させる
山田前社長の説明はとても分かりやすかったです。
まず、瑞風で来られたお客様が地域にお金を落として下さるというのは考えない方が良い。乗客人数も少ないし、地方は富裕層がお金を使ってくれる仕組みづくりが苦手。
確かに私もゆるキャラや踊りで歓迎、という画一的なセレモニーを見ていてそう感じました。
私のアイデアは「瑞風の通る風景」でカメラ旅をするお客様を誘客したりするのが良いのではないか、という提案をさせて頂きました。
が、瑞風をはじめとするクルーズトレインはブランド向上のため簡単には肖像権を許可してくれない、すなわち広告等で画像を使うことが許されない可能性があるそうなのです。
ただ、ヒントはそこにあります。
私たちの地域は”あの”瑞風が通るほど素晴らしい場所なんだよ
というブランド戦略に便乗し、地域をもブランド化させた方が良い、とのことでした。
世界遺産=後世に残したい歴史的建造物や自然
と認められるのと同様
クルーズトレインのルートに選ばれるほどの素晴らしい景観が広がる場所
という認識を持ち、自信を持って地域をPRしていく。
この考え方、伝わってますか?
モノが来たから経済効果があるのではない 経済効果は自分たちで作り上げていくもの
瑞風が来れば、きっと経済効果はある。
人は勝手に”モノ”に期待してアテにしがちです。
”モノ”はあくまで手段であってそれを生かすも殺すも地域の人たちが積極的に観光に結び付けて考え、行動していくかどうか次第。
学生をはじめとする地域の足でしかなかったローカル鉄道を”観光”というそれまでなかった切り口で経済効果を生むという発想を日々やり続けてきた山田前社長だからこそサッとそういったところに目が行くんだなぁ~とむちゃくちゃ刺激を受けました。
最初に紹介した新聞記事に戻りますが
山田氏は「一定の施策の道筋がついた。よそ者である私だから道を切り開けたこともあるし、後はその道を地域に根差した方に“舗装”してもらいたい」と語った。
とあり、またそれに対して若桜町の小林町長が
「われわれには想像つかない考えを持ち、全国級の鉄道にし、いい足跡を残してくれた。さらに地域が大きな輪となって事業を進めていきたい」
と、回答されています。
よそ者だからこそできる思い切った施策。地方ほど持っていない「観光」という視点。画一的ではなく創意工夫あふれるイベントやおもてなし。
山田前社長が鳥取からいなくなるのは寂しいですが、またどこか困っている地方鉄道へ出向き、きっとその地域を斬新なアイデアで盛り上げて行かれることと思います。
退任のごあいさつ回りにもかかわらず、2時間以上もガッツリ色々とお話しをさせて頂きました。
次に挑戦されるまちへも私たち夫婦できっと遊びに行きます。また色々と教えて下さいね♪
コムサポートオフィス代表
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