- 先日、神戸新聞に非常に身近な話題として衝撃的な記事を見かけました。
働き手不足、県内でも 廃業、収益悪化…企業悲鳴
人手不足が全国で深刻化している。兵庫県内でも景気の改善傾向や働き手の減少などにより、建設や外食、介護、観光など幅広い業種に拡大。廃業に追い込まれるケースや、賃金の高騰で収益が悪化する企業も出てきた。企業は時給アップや営業時間の短縮で打開を図るが、好転の兆しは見えない。(中略)
人手不足は全国的な課題だ。3日発表の日銀短観では、企業の人手不足感を示す指標「雇用人員判断DI」が、バブル経済末期の1992年以来の水準に。大手のファミリーレストランやファストフードが24時間営業を廃止するなど、外食業や小売店は営業時間の短縮を進める。
不足感は県内でも幅広い業種に広がる。
兵庫労働局によると、2月の県内の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0・02ポイント増の1・22倍。昨年9月以降、バブル経済期の最高値1・14倍を連続して上回っている。業種別では「建設・採掘」の4・35倍、「サービス」の2・43倍、「看護師など」の2・91倍などが高い。
いよいよ本格的な人手不足の時代が来てしまいました!!
おはようございます!普段は民宿&ダイビングショップの親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
今や人手不足はどこの業界、といったものではありません。サービス業だから、飲食業だから、関係なくどこの業界でも深刻です。
また、都会、田舎の問題でもなくなってきています。都会も地方も人手が足りていません。
また、セブンイレブンが本部のロイヤリティを下げ、アルバイトに対する人件費に充てることを決めたようです。
セブンイレブン 人手不足対策でロイヤリティー引き下げ
今回の措置は人手不足が深刻化する中で、各店舗で、アルバイトなどの人件費が増えて経営を圧迫しているためで、引き下げ分を人件費などに充ててもらいたいとしています。
正直、アルバイトの時給単価が上がったら人手不足が解消するといった問題ではない気がします。
一番困っているのは正社員ではなく、アルバイト、パート職員で人手を確保している業態の事業者さんではないでしょうか。
かくゆう私の住んでいる地域も、正社員を雇わずに家族+アルバイトで営んでいる民宿、旅館が多いです。規模が大きすぎず、小さすぎずのところほど正社員を雇うには厳しいし、かといって家族だけではやっていけないし、ということで苦しいところと思います。
私自身、実は数年前からこうなるであろうということは予感していました。そのためにどうすればよいか。私がこの1年で実行したことを少しお話しさせて頂きます。
今の従業員で何組対応できるかを考える
私も宿をやっていますので、今の売上に対してどの程度の人員が必要かは把握しています。2014-15年が過去最高の売上額となった時、今の人員でこの売上を確保するには家族もスタッフも倒れてしまうと思いました。そこで、2015-16年、2016-17年とお受けするお客様数をどんどん減らしていきました。
現在は今のマンパワーで対応できる5組になった時点で満室としています。全8室ですので満室としていても3室お部屋が空いているときもあります。2部屋1組のグループさん4組で全てのお部屋を使って満室という場合もあります。
実は宿泊業でお客様に接客する場合、従業員数とお客様数で適性をみるのは妥当ではありません。従業員数とお客様組数でみるべきです。
宿泊事業者は、空室があると全て埋めないといけないという固定観念を持っています。しかし、素泊まりやB&Bの宿と異なり、夕食を伴う民宿・旅館の場合、客室数=組数で対応すると通常以上の従業員が必要か、あるいはいつもの従業員数で対応するとトラブルが発生しやすくなります。
大切なのは、今いる従業員数で何組まで対応できるかをしっかり把握することです。この考え方ですと、当然ながらお客様数が減るため、売上は下がります。では、どうすればよいか。すべきことは2つあります。
1.値上げする
シンプルですが、これがとても大切。お客様を自ら減らすわけです。その分をリカバリーしなければなりません。ここで重要なのは「売上」ではなく、「利益」で会社の数字をみること。
私は値上げのお知らせをリピーターさんに「値上げ理由」とともにハガキを出しました。
常連様には値上げでもしっかりお伝え
することが、逆に来館動機になります
但し、実際は値上げした価格以上にカニが高騰し、あまり利益が出なかったのはここだけの話です。。
「値上げしたらお客様が来なくなるんじゃないか?」
そういった不安は確かにあります。
そのために日々価値を伝える努力をするのです。
常々言っている通り、安易に価格を下げる、値引き、割引をするクセをこの機会になくしましょう。
2.クチコミを上げる
組数を限定すれば、おもてなしに割く時間がしっかりとれます。そもそも、クチコミってどうすれば上がるでしょうか。クチコミは上げるというよりも、悪いクチコミをもらって下げないことの方が重要です。基本クチコミはお客様との接触時間に比例すると私は考えています。悪いクチコミをもらわないために行ったことは以下の通り。
(1)事前にお知らせする
クレームの8割は情報不足から。出来ない事は出来ない、不便な点は事前にお知らせしておく。これによってクレームの8割は削減できます。
「お部屋が臭い!」というクレームが
このPOPでなくなりました
私の場合、ブログで書いていることも事前のお知らせになっているかと思います。
(2)お客様との会話時間を増やす
特に朝の時間帯。朝は精算だけでなく、お出かけ先を検討されているお客様もあり、すぐに相談させて頂く状態を作るよう心がけておく必要があります。
以前は私も厨房で皿洗いや茶碗拭きをしていましたが、今はできる限りフロントにいるようにしています。
すぐにスタッフに声がけができない、スタッフが忙しそうで声がけしづらいといった雰囲気はマイナスです。
(3)段取りよりもお客様優先で!
言い方が悪いですが、忙しくなるとお客様を”さばく”感じの接客になってしまいます。
目の前のお客様に対応しながら先の段取りを考える。
旅館業界ではこれが優秀な接客係とされてきました。でも、これって、客数をさばく上で、宿にとって優秀な接客係です。そこにお客様優先の考えはありません。
先の段取りよりも、今、お客様は何をすれば喜んで下さるかを考える。
依頼された誕生日ケーキも
どのタイミングでお出しするかを
しっかりと打ち合わせします♪
クチコミの評価が上がってくる、良いクチコミをいただくのはこういった心の余裕が必要です。
どんな時に悪いクチコミが入るか
過去、私自身調べてみると、悪いクチコミの多くは繁忙期、繁忙日に入っています。特に8室8組とか、無茶なお客様組数をとった時に悪いクチコミを貰うことが多かったです。
繁忙日に儲けるだけ儲けようと無理をしてしまうのが悪しき伝統です。次から次へと新規のお客様がいらした昔はそれでよかったでしょうが、SNSも含め、クチコミでリピーターさんリピーターさんからの紹介が大切な今の時代、このやり方こそが安売りや過度な広告を打たなければならなくなる悪循環を生み出しています。
どこの宿泊予約サイトのクチコミも、「接客・サービス」が高得点だと総じて全体の点数が良くなる傾向があります。
お客様は評論しにきたのではありません。楽しみにいらしたのです。なので、楽しい気分になったかどうかが一番大切です。
忙しければ忙しいほど接客に余裕がなくなり、サービス・接客が雑になる。それが結果として全ての項目のクチコミ評価を下げる結果になるのです。
クチコミ評価が上がると宣伝広告がいらなくなる
宿泊予約サイトに関していえば、やっぱりクチコミ・お客様の声評価は絶大です。特にじゃらんネット。先日も言いましたが、販促パックに入っていてもいなくても、スマートフォンサイトで見るとクチコミファーストです。
よくじゃらんネットにおける掲載順位を気にされる方がいらっしゃいます。販促パックに入れば順位が上がる、というわけではないですよね。販促パック未加入の宿泊施設でも上位に掲載されている施設さんはあります。
販促パック未加入宿は
フォトギャラリーや新着トピックスのタブがない
販促パック未加入宿で上位に掲載されている宿は総じてクチコミ点数が良いです。星5つです。
販促パックや広告、様々な集客手段がありますが、予約サイトにおいてはクチコミの点数を上げるのが最強の集客方法です。
「安売り」が人手不足を加速させている
私がこの2年間、特にこの1年間でやったことは
お客様の組数を減らし、価格を上げ、クチコミ評価を上げた
ということです。
これによって唯一参画している楽天トラベルにおいても、ポイント10倍やRakuponのキャンペーンや広告出稿をしなくても自然と予約が入ってくるようになったのです。
もちろん、勇気のいることです。
更には週に1日、休館日を設けるようにしました。年末年始、初めて大晦日を休館日にしました。来シーズンはお正月も休館日にする予定です。家族経営の場合、どんなに人を増やしても代わりのいない仕事が存在します。そこに悩んでいる人も多いはず。であれば、思い切って休館日を設けることも大切です。
従業員に無理をさせない、自分たちも余裕のある接客を心がける。すると、結果としてクチコミ評価が上がり、宣伝広告費を削減することができました。値上げ効果も含め、利益の点ではむしろ良くなっています。
なんでこういう思い切ったことができたのか。
私自身がここ数年で「安売りの呪縛」から逃れられたからです。
結局は安売りが自分の心も荒ませるし、従業員の心も遠ざけていってしまいます。
値引き、割引にとらわれると、売上にも人手不足にも悩まされる悪循環になります。
安易な安売りは、人手不足にもつながっているということ。お分かりいただけましたでしょうか。
これ、どこの業界でも当てはまることだと思います。
コムサポートオフィス代表
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