ホテル、旅館等の宿泊施設がGoogleの価格一覧に自社公式サイトの直販価格を載せる方法

Googleビジネスプロフィール

Googleでホテルや旅館等の宿検索をした際、「空き室状況の確認」という名称にてOTA(宿泊予約サイト)の価格一覧が掲載されます。


世界中のOTAの価格が並ぶ

この部分、「広告」と書かれています。一般的にこの部分、Googleホテル広告と呼ばれています。

また、今年に入ってから、

広告:注目のオプション
すべてのオプション

の2つの枠組みができ、広告:注目のオプションは有料広告、すべてのオプションは無料掲載可能となりました。有料広告枠は入札上位4位まで、無料掲載枠は有料広告入札で4位までに入ったOTAも含めて10個まで掲載されます。そして、無料掲載のOTAサイト流入した予約に関しては、Google側がOTAへ広告費を請求しないことになりました。

「無料掲載可能」というニュースが流れてから、

全てのオプション部分に自社公式サイトの直販価格を掲載する方法はないのですか?

という問い合わせが、Googleマイビジネスのヘルプコミュニティでも増えてきています


2021年5月時点最新の表示

 

こんにちは!普段は民宿の経営者兼看板親父♪
コムサポートオフィス副代表のガク(@kasumi_gaku)です!

無料ならばここにOTAではなく、自社サイトでの直販価格を掲載して欲しい。多くの宿泊施設がそう考えることと思います。この場合、考えなければならない点が2つあります。

・そもそもここに直販価格を掲載することは可能か?
・可能な場合、それは無料で行うことはできるのか?

ということです。

結論から言うと、現時点で日本において直販価格を掲載することは可能です。但し、無料で行うのは難しいです。その理由について、直販価格の掲載方法とともに説明します。

自社サイトの直販価格を載せる方法

まず、自社サイトで販売している直販価格を掲載する方法はあります。実際、私の宿は掲載しています。


公式サイトでの販売を最安値で販売中

宿泊施設がここ(Googleホテル広告枠)に公式サイトの価格を掲載したい場合、Googleと直接契約して掲載することはできません。いわゆる一般的なGoogle広告であるリスティング広告は個々の事業者とGoogleが直接取引を行い、管理画面から入札して広告を出すことが可能です。


「民宿かどや」で検索した場合
広告枠でトップに持ってくることが可能


Google広告で「屋号」キーワードを購入する

以上の部分は事業者、あるいは個人がGoogleとの直接取引が可能です。

しかし、Googleホテル広告枠には、宿泊施設がGoogleと直接取引を行なって掲載することはできません。Google広告とGoogleホテル広告は共に「Google広告」と付いていますが、広告の種類や手続きが全く異なると認識して下さい。

では、Googleホテル広告欄に直販価格を掲載するにはどうすれば良いか。そもそも誰がOTA価格一覧に価格を掲載する権利を有するのか。実は、Google Hotel Centerのアカウントを持っているインテグレーションパートナーとなった企業のみが掲載可能、というのがその答えになります。

最初にお話ししたように

Googleホテル広告インテグレーションパートナー企業とは?

Googleホテル広告インテグレーションパートナー企業になれば、Google Hotel CenterなるGoogleホテル広告の管理画面に入ることができ、入札&掲載が可能になります。


Googleホテル広告の公式解説サイト

OTA(宿泊予約サイト)以外にもGoogleホテル広告インテグレーションパートナー企業が存在し、宿泊施設はこのパートナー企業と契約することで、公式サイトの直販価格を掲載することが可能になります。

では、Googleホテル広告インテグレーションパートナー企業はどこか?これもGoogleホテル広告の公式解説サイトに一覧で掲載されています。

Googleホテル広告インテグレーションパートナー企業一覧

私の宿も、こちらに掲載されているパートナー企業の1社と契約することで、Googleホテル広告欄への公式サイトの直販価格の掲載を可能にしています。

日本におけるGoogleホテル広告インテグレーションパートナー企業はどこ?

では、先のパートナー企業一覧で日本の宿泊施設が契約できるところはどこでしょうか。この中で私が2021年5月時点で把握できているのは

フォルシアメトロエンジンダイナテックBeds24tripla

の5社です。


日本で参画可能な5社
※その他可能企業がわかった場合は今後随時追加します。

これらの企業はそれぞれ独自のブッキングエンジン(直販予約システム)を持っており、そちらを導入することでGoogleホテル広告に連動掲載される仕組みをとっています。(一部例外があります※)

ダイナテックのダイレクトイン、triplaのtriplaホテルブッキング等がそれにあたります。また、Beds24のようにブッキングエンジンを持ったサイトコントローラーでGoogleホテル広告への掲載が可能な仕組みもあります。

(※メトロエンジンについてはメトロブッキングという独自ブッキングエンジンを導入しなくても、直販価格をGoogleホテル広告に掲載することは可能です。)

当然ながら、これらの企業とのブッキングエンジンの有料契約があるほか、Googleホテル広告の無料掲載枠に載せたい場合でも、これらの企業にお願いして掲載してもらうための作業料は必要ですし、Googleホテル広告から予約が入った場合、手数料がかかる場合もありますので、最初の問いと回答

無料で行うことはできるのか?→無料は厳しい、有料となる

となる理由は、これら契約にかかる費用が発生するから、ということになります。

Googleホテル広告インテグレーションパートナー企業の選び方

では、これら5社のうち、どこと契約を結ぶのが良いのか。これは宿泊施設の業態によってベストなパートナーは異なってくると思われます。

私は、以下の3つの基準でダイナテック社と契約しました。


ブッキングエンジン「ダイレクトイン」を導入

運用が簡単

Googleホテル広告の管理画面Google Hotel Centerでの入札をしなくても良い。お任せでやってもらえること。管理画面が難しいかどうかは分かりませんが、日々運用していかなければならないのは事実です。ブッキングエンジンにプラン出し、部屋提供すれば自動的に掲載される手間なしで運用できるのが望ましいです。

日本型宿泊施設(旅館・民宿)に対応している

実はこれが私の宿がダイナテック社にした1番の理由です。いわゆるホテル向けブッキングエンジンは夕食付プランやお子様料金の細かい設定に対応していません。まあ、Googleホテル広告自体が対応できませんが、日本型宿泊施設の特殊な価格設定に対応が必要な宿泊施設は、ブッキングエンジンとセットで行う場合、選べるシステムが限られると思っておいた方が良いでしょう。

手数料がOTAよりも安い

手数料+公式サイトでの最安値にする割引分がOTAの手数料を上回るようであれば導入メリットは低いと考えています。但し、システムによっては、オンライン決済にした時のクレジットカード手数料の安いところもありますので、総括的に判断するのがお勧めです。

5社それぞれの特徴もありますが、細かい価格を公開していないシステムもありますので、ここでの特徴比較は控えます。

そもそもGoogleホテル広告に自社公式サイトの直販価格を出す必要はあるか?

現状、公式サイトの直販価格が掲載されている宿の方が圧倒的に少ないです。但し、直販比率を高め、OTA依存から脱却したい宿や、公式サイトからの予約に対し、ベストレート保証をうたいたい宿は、Googleホテル広告への掲載はしたいところです。


公式サイトからが
一番お得とアピールしたい!

とはいっても、全ての宿がGoogleホテル広告に公式サイトのベストレート保証価格を掲載する必要があるのか。

例えば今、無料のブッキングエンジン(じゃらんホームページダイレクトやR -with)を使っている宿泊施設の場合、有料のブッキングエンジンに移行する時点でランニングコストが発生します。

どこのシステムを使うかにもよりますが、Beds24以外だとサイトコントローラーと合わせて月額2万円ぐらいの出費を見ておかなければなりません。それにプラスOTAほど高くないとはいえ、成約時の手数料がかかってきます。

以前試算したことがありましたが、日本型宿泊施設の場合だと、最低でも年商3千万円、できれば5千万円以上でない限り、Googleホテル広告への掲載はメリットがないように感じました。相性の良いOTAをある程度絞り、オンライン決済費込みで12〜15%程度でブッキングエンジン機能や各種広告費もまかなえるOTAと共存すべき割り切るのも一つの方法です。

残念ながらWeb集客だけに特化した場合、日本の宿泊施設の集客のOTA優位は揺らぎません。OTAの手数料を送客手数料と捉えるのではなく、システム使用料と思えば、導入固定費、ランニングコストを全て15%以内で賄ってもらっていると考えるのもありなのです。特に、売上高が低い場合はWeb集客の手間はOTAにお任せし、日々の接客等にマンパワーを集中することが良いとの判断も検討しても良いでしょう。

Googleホテル広告に自社サイトの直販最安値価格を出したいのであれば、”直販を頑張る覚悟”が必要です。「OTAからの売上も確保したいけど・・・」という気持ちが強い場合は、まだまだ時期ではないかもしれません。その辺はよくよく考えて、売上比率も含めた予約動線設計をしっかり行なった上で運用しましょう。

最後になりますが、最初の質問

・そもそもここに直販価格を掲載することは可能か?
・可能な場合、それを無料で行うことはできるのか?

についての結論。

Googleホテル広告に直販価格を掲載するのはパートナー企業との契約で可能。但し、無料で行うことはできない。

となります。

参考動画

コムサポYouTubeチャンネルで、部分部分についての解説を行っています。それぞれ10分以内の動画なので、是非ご覧下さい。

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