2021年1月から、Google マイビジネス ヘルプコミュニティダイジェストというYouTubeチャンネルを開設しており、月2回配信しています。これはGoogleマイビジネスを広く知ってもらい、適正な運用をしていただくためのプロダクトエキスパートの活動です。
進行と配信をGoogle マイビジネス シルバープロダクトエキスパートの私が、解説はプラチナ プロダクトエキスパートの永山卓也氏が行っています。
今回は、21年4月8日配信のGoogleマイビジネス ヘルプコミュニティダイジェスト【Googleマイビジネスよもやま話】で、Googleマイビジネスの停止と無効の違いについて、永山氏に解説いただきました。
実は永山氏がご自身のツイッターでこのようなことをおっしゃって下さってました。
Googleマイビジネスの「停止」と「無効」って両方公開停止に繋がる話ではあるのだけど、実は理由や扱いが異なっていて。
ざっくり言うと、停止は違反行為が主で、無効はGoogle想定外の設定記述で起こる。
機会を見つけてGMBヘルプコミュニティダイジェストで解説します。https://t.co/SYv7A9Ysij
— Tak Nag Lug | Takuya Nagayama (@Tak_Nag_Lug) April 5, 2021
ということで、早速、この回で取り上げていただきました。特にややこしい部分ですので、代行されている方は理解を深めて欲しいです。
質問:ビジネスガイドライン違反について
先月31日から開業をし、集客のためにGoogleビジネスの登録を行いました。
ですがビジネスガイドライン違反となりアカウント停止となってしまいました。
心当たりはカテゴリーの種類か写真に花が写っていて固有名詞が写っているかかと思い、写真は削除いたしました。
そもそもまだ開業したばかりのため登録できないのか。理由の回答ができないとのことでしたが、まったく原因がわからないので教えていただきたいです。ご回答の程、よろしくお願い致します。
この質問についてのショートアンサー
前提として本当に違反なのかわからないです、正直。本当に何か誤認されている可能性はあります。単純に、特に整骨院でもあるし、投稿に肌色が多い、背中を出したような状態の患者さんを映しているような写真を載せていたとしたら、何かしらで誤認されたみたいな話はあるかもしれません。だから絶対にこうだという決めつけではありません。(違反か誤認なのか)どちらなのかというのは、この今の情報だけでは見えてこないです。
ちなみに花が映っていて停止、というのはないですね。
この方の質問には、続きが入っていて「Google マップで前の学習塾の情報が出てるんです」がヒントになりそうです。
花についてはお祝いでの送り主の名前が出ていたことを気にされているのかと思いますが、その場合は個別の写真の不掲載になるので問題無いかな、と。
文字として名前を認識して、それがプライバシー違反と通報されたとしたら、多分、その写真が通報されて写真が消えるくらいですよね。
停止と無効について
停止と無効をざっくり解説
停止されるということは、何かしらGoogleのポリシーやガイドラインに違反している、抵触している状況でしょう。さっき言ったように誤認もされますので、写真に肌色が多かったりすると、それが何かしら問題だと認識された可能性はあります。その場合はそのまま回復リクエストをかけてもらったら、回復する可能性もあります。
ただし、否決される、応答がない、という場合には何かしらのポリシーに反しています。違反している場合も2種類あり、施設情報の記述に問題があるパターンと、オーナー権限を持っているユーザーが何かしらしてしまっている、もしくは間接的に関わっていて違反と捉えられるパターンがあります。
無効というのは馴染みが無いですが、最近ちょこちょこ起こり始めています。チェーンブランドで割と起こりやすいです。csv を使いますが、一部のデータに問題があるのに、なぜかアップロードが通ったりする場合があります。
もう一つは、先ほど移転の話がありましたが、移転をしているのにマーカーの位置だけを変えたとか、住所だけ変えたとか、新規造成地域で住所がうまくデータ的に取れて無くて、でもマーカーの位置を変えたことで、データが合わなくなったなど、そういう場合に無効と出るパターンがあります。
上と下の違いで一番大きいのが、上は違反です。違反として捉えているのですが、下は違反ではありません。
データがおかしいよ という話だけですもんね!
このままだとシステム的に表示できないよ、という意味で、かなり大きな違いがあります。
だから停止された、公開になっていない、という状態ですが、上側の方だと結構問題ですが、下側の方は問題というよりは、何かしら変えてもらったらちゃんと表示されますので、それらにはかなり大きな違いがあります。
リスティング停止の要因
(資料はGoogleマイビジネス・プラチナエキスパート伊藤亜津佐さんの記事から転載しています。)
法律に抵触している場合
整骨院は厚労省の法関係の問題である可能性もあり。
業種業態によっては、上記以外にも薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)や医療広告ガイドラインも関わってきます。この部分に抵触している場合も同じようにリスティング停止の扱いになります。ガイドラインにも法律に抵触するものは(違反である)、とすごく広い捉え方で表記があるのでこれもポリシー違反として扱われます。
法的な部分をポリシーやガイドラインで見逃しがちで、これが結構引き金になっているケースも、医療行為等の記載も含めて多いです。
(医療広告ガイドラインでは)before & after は表示が禁止ですもんね
整骨院とかは見回って報告しまくる人いますからね
ああ、整骨院は特に多いですね。整体院と整骨院という区別は割と日本特有なんですけど、柔道整復師という資格なども関わってくるため、扱いとしてできる表現と出来ない表現など、細かく決まっています。だからこそ、整体、整骨に結構、壁があるというか…。お仕事をされていながら、これは違反してると思っている同業者の方もたくさんいらっしゃるのはよく聞く話です。だから見回りされてしまうのでしょうね。
禁止コンテンツに抵触している場合
この他、居酒屋関係がそうですが、酒、酒、酒と言い過ぎると同じようなパターンになります。事例としては少ないですが一部あります。
ビジネス名に関係無い文言が入っている
リスティング停止では、ビジネス名に地名とかその関係ない文言が入ってる というのが一番多いですよね?
一番多いと思います。あとは、案外最近増えているのが、口コミの自作自演が何かしらで通報されているケースとか。POPとかで言い逃れできないような感じで書かれていて、それを通報される場合もあるでしょう。証拠を提出されているパターンですね。
レビューを書いていただいたら何かサービスしますね系ですね
まぁ、500円引きなどをしている居酒屋さんとか。
アカウント停止の要因
ちなみにそのアカウント停止になったときには、ナレッジパネルは表示されますか?
リスティング停止およびユーザーの停止になっているパターン、そして、ユーザーの権限とそれからIDの店舗で動かしているかどうかとかの状況によって、幅がだいぶ変わってきます。
リスティング停止の場合もあれば、例えば管理している全店舗に影響があって全部公開停止になるパターンもあります。権限が管理者の場合とオーナーの場合でも違いますが、それによってはリスティング停止か、もしくは削除、もしくは非公開という状況になり、検索しても出てこないという状態になります。
色々とありますが、少なくとも干渉できなくなる、だからログインできないですね。だいたい重大な違反時には恐らくGoogle マイビジネスにログインできません。その人に問題があるとみなされて、リスティングには問題がなく残っているパターンもあります。この時に、管理情報には問題がないですが、他の所でやってしまってるということですね。
多くは言いませんが、そういう状況になってるのが見え隠れするので、それによってログインできる状況も違ってきます。この辺の措置がかなり幅広くて、他のプロダクトにはログインできることもあります。逆に言うと、プロダクトにログインできないっていうのは、問題視されているというか、問題行動か、それを疑われる、または誤認される何かをしていることになります。Googleのログイン自体も弾かれるということも聞く話ではありますが。
(5/7 追加)
リスティング停止についての解決法を、ユーザーの方がヘルプコミュニティに寄せてくださいました。その方の解決法が参考になると思いますので、アカウント停止の方で原因の分からない方がいれば参考にして下さい。
無効になる要因
無効の要因として最初に言っていた、チェーンブランドに多い というのがこの csv ということですね?
チェーンブランドなどの一括編集で起こる
チェーンブランドの管理が少なかったということがあるのですが、csv でデータを入れるケースが多くなってきて、例えば属性情報であるとか、ジャンルによっては入れても結局使えないデータもあります。
使えないデータを入れたら、反映されず否決されればいいのですが、なぜか通ってしまったけどダブルチェックの段階で弾かれたんですよね。反映はされたけど表示できません、と無効データとして扱われたパターンがこれにあたります。
一括管理をしててしくじった場合とか、この辺を設定した方が良いだろうと色気出して設定したら、設定できずに無効になるパターンもあります。
移転によるマーカーの位置ズレ
移転による住所のマーカーの位置ずれは一番最初にお話した、店舗情報としてちゃんと表示されないという話に通じるのですが、ちょっと違ってて、無効として判断される場合があります。このパターンは単純に住所は維持しているのにマーカーだけがとてもずれていて「これは住所と違いますよね 」と指摘されているパターンです。これもデータがおかしいとみなされるので、無効になることもあります。
最近1件ありましたよね、質問が。
廃止ジャンルのまま運用
廃止のジャンル(カテゴリー)は宿泊型のジャンルで存在していたり、Googleマップでは 存在しているけれども、マイビジネスとして登録できないジャンルがあります。例えば温泉。登録の時期によっては登録出来ています。
それを長らく放置していて、Google としては差し替えて表示は変わっているけど管理画面上では赤(警告表示)のままになっています。オーナー側が承認していないという状況。これがずっとそのまま放置していると、本来であればオーナー承認でグーグルが差し替えてくれればいいんですけど、差し替えもせずにそのまま無効になっているケースがあります。
宿泊系は結構、以前はあって、それをGoogleが入れ替えてましたけどね?!
そういうことがあってからGoogleがちゃんと入れ替えていますが、相当マニアックなジャンルや変なジャンルをサブジャンルに加えている場合です。そのまま放置していたりすると、いつしか無効になっているというケースがあって。
本来であればそれに気付いてから何かしら対処すれば良かったのですが、あんまり管理していないケースでよくありがちなパターン。無効になってから気付くので、そうしてるうちに検索で出てこないというので見てみると、停止じゃないということもたまにあります。「無効です」と表示されているんですよね、データに誤りがありますとか。
それは管理画面の(店やサービスの)一覧に出るんですか?ここが無効です、と表示されますか?
一覧には出ますが、ここが無効だとは出ない。ただし、赤(警告表示)になってる場合もあります。基本情報だと赤になって出る場合がありますが、ピンのマーカーは警告表示が出ません。
イタズラされて無効になるケース?!
嫌がらせで最終的に無効になっているケースもあって。本当にグーグルもなぜこれを承認するんだという部分は置いといて話をすると、いきなり、日本海とか海の上に住所のマーカーが飛ばされている場合があります。飛ばされててそのまま放置していたら、無効になっているケースがあります。
「無効です」と、停止の時のようにメールは来ますか?
こないと思う、これは無効なので。停止されますというアラートではないので、メールはたぶん来なかったと思います。
いつのまにかうちの店が消えてるということになるんですね?
そうですね。海の上にある状態をずっと続けていて、管理画面を見たら無効になっていて、マーカーを見たら海の上になっていた、ということですね。
その場合はもうマーカをずらせば直る?
そうそう、戻せばいいんですよ。戻せば済む話です。だからどちらかというと、さっきの最初の話じゃないですけど、停止されているのと無効というのはだいぶ違うんですよ。
修正して無効が消えない場合はサポートへ連絡
だから無効と言われたら「安心してください」とは言わないけど、データが不備があったとか何か問題があるというか…、あなたに問題があるというよりはデータに問題があるという事なので、そこは直せばちゃんとなります。
ただし修正してすぐ治るとは限らないです。修正して無効が消えない場合には、サポートに言わないと直りません。
内部データに問題がある場合
もう一つあるのが内部データ的、外から見えない部分に問題がある場合。データが壊れてるパターンもありますが、これは何が原因かということはちょっと置いておくとして、その場合にはサポートに言わないと治らないケースがあります。一部、ビジネス情報の重複から発展して起こるケースもあります。
リスティング+アカウントのポリシー違反の問題が一番大きい
パターンによって、対応をサポートに回すもの、自分で管理画面から治すもの、アカウント停止だったらGoogle アカウントの回復ですよね?
無効の場合には 基本的に回復リクエストをかけても、リクエストじゃ治らないのでサポートなんですよ。リスティング停止の場合は回復のリクエストです。
アカウントが停止されている場合には、そのアカウントは使わない方がいいと思いますが、影響次第ですね。どこまでの影響が出ているかによると思います。
僕が一番問題が大きいと思ってるのは、この真ん中のリスティングのポリシー違反で、アカウントもポリシー違反をしている場合。これはどうしたらいいかは個別に見たほうがいいと思います。どの立場かによると思います。
僕が経営者でスタッフの誰かのアカウントが停止してたらそのアカウントは使わないです。でもオーナー本人がこれをやってしまった場合は、できればきちんとアカウントの回復リクエストを行っていただいて、それでダメであれば、本当にサポートに相談するとか、いろいろ考えていただきたいと思います。
ここにに関しては一概にどれが正しいというか、どれがいいですよというのは、いろんな立場の問題があるので言いづらいのですが、真摯にやっていただきたいという思いがあります。
停止にならない、無効にならないが一番いいので、せっかく無料でつかわせてもらうんだから、ポリシーを守って適切に使うということがやっぱり重要ですよね。いろんな停止のパターンが残念ながら増えてきたので、その辺を研究していただければと思います。
この部分をYouTubeで確認したい人は
4月8日の【Googleマイビジネスよもやま話】をご覧下さい。
(時間は「よもやま話」のコーナーにセットされています)
参考ヘルプページ
◆停止中のビジネス プロフィールを修正する https://support.google.com/business/answer/4569145
◆無効になったビジネス プロフィールの修正 https://support.google.com/business/answer/9334246
◆ビジネス プロフィールのステータスについて https://support.google.com/business/answer/3480862
<参考ページ>
◆突然、Googleマイビジネスが停止になった時の対処方法
日本のローカルSEOガイド(ischool合同会社 伊藤 亜津佐 氏)
https://ischool.co.jp/2020-03-13-what-to-do-if-google-my-business-suddenly-stops-working/
担当者紹介
■永山 卓也 /Takuya Nagayama
商工、観光分野のマーケティング支援をアナログ、デジタル両面から官民問わず行なっている。地方自治体や大学での公演から、小規模事業者の情報発信戦略やコンサルティング、マネジメント業まで幅広い「ローカルビジネス」の専門家。2020年度 観光庁 DMO外部専門人材。Google マイビジネスプラチナプロダクトエキスパート、Googleマップ ゴールドプロダクトエキスパート、Google 広告シルバープロダクトエキスパート。ごはんが好き。
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■今井 ひろこ /Hiroko Imai
小規模宿泊施設の集客コンサルタント。クチコミやお客様アンケートを活かして、Web・Googleマイビジネス・SNSなどのデジタルツール、チラシ等のアナログツールのサポートをしています。観光協会、商工団体の研修にも多数登壇。趣味はスキューバダイビングと地元の観光ガイド。夫は民宿を経営。Googleマイビジネス シルバープロダクトエキスパート。
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