今年はこれまで学んだエクスマ的な考え方を地域活性化にも活用する!!
更には「観光立国の正体」を読んで衝撃を受け、地方創生、観光振興の本当の意味を知った自分が提言できることもブログでしっかりと書いていきたい。そんな風に思っています。
今日のブログの内容は香美町の人たちにとって衝撃的な話かもしれません。今年は町長選、町議員選挙があります。町長、議員に立候補される方、誰かを支援されている方にはぜひ目を通しておいて欲しい内容です。
もちろん、行政規模(人口2万人前後)が同じぐらいの地域にお住いの皆さんも参考にしていただければと思います。
おはようございます!普段は民宿の親父、コムサポートオフィスのアドバイザーもやっているガク(@kasumi_kadoya)です。
最近、コムサポ代表今井ひろこがツイッターで「観光立国の正体」からの抜粋を毎日ツイートしています。
『世界の観光統計はすべて「延べ泊数」が基本です。日本でよく用いられる「入込数(宿泊・日帰りを区別しない単純な来訪者数)」は単に通り過ぎた人も数えてしまいますが、ヨーロッパでは日帰りの訪問者は基本的にお客様としてカウントされません。』 #観光立国の正体 #共感したこと
— 今井ひろこ@地方の宿と店を元気にしたい! (@Imai_Hiroko) 2016年12月31日
これ、先日の鳥取市での講演会でも事例を交えて力説されていました。
事例というのは鳥取県の境港市の話。「ゲゲゲの女房」でものすごい観光客が押し寄せたが、日帰り客ばかりで入れ込み人数ほどの消費金額における経済効果はみられなかった。鬼太郎グッズも低単価、製造地は市内ではないため、販売した小売店がわずかに儲かるだけです。
観光客の入れ込み数を指標とする場合、
日帰り客をカウントするのは意味がない
のです。
入れ込み数で見るのであれば、「宿泊客」で見るべきです。
香美町の観光客20%増は売上目標ではなく 日帰りも含めた入れ込み数目標
さてさて。今後日本の地方は人口減少を食い止めるのが厳しい。であれば、交流人口を増やす。そのためには観光に力を入れなければならない。この三段論法は以前から言われていることです。
そんな中、香美町で掲げられている観光目標は
観光客2割増
です。これは4年前に初当選した浜上町長のマニフェストです。
これを入れ込み数での目標値とされています。
現実的には暖冬によるスキー場の入れ込み数減により、2割増どころか5%減の状況です。
(参考資料:平成28年第90回定例会(第4日目) 本文より)
兵庫県の観光動態調査による香美町の入り込み数は、平成25年度の163万8,000人に対し、26年度は160万6,000人に減少いたしました。今年度においても、第3四半期までの比較で、平成26年度の108万4,000人に対し、平成27年度は103万4,000人となっている上に、雪不足によるスキー場の入り込み客数が2月末現在で昨年度22万274人から12万2,012人に減少しております。今季については、入り込み客の大きな減少は避けられない状況にあり、来年度もこのまま推移すれば、観光客2割アップの実現は大変難しいというふうに感じております。
この2割という数字。どこから出てきたのかはわかりません。単なる「希望値」かもしれません。
仮に入れ込み数で考えた場合でも、ものすごく難しい目標です。兵庫県の観光動態調査というデータがあります。こちらを見ると“天空の城”として映画等で大ブレイクした竹田城跡ですら平成25→26年で+14.7%でした。20%まで行きませんでした。外国人観光客が急増した城崎温泉の平成25→26年で+10%です。香美町の場合、外国人観光客の誘客には消極的なので、国内旅行者だけで20%を達成しなければなりません。
仮に入れ込み数で20%増を達成しても、町内に落ちるお金が20%増とはならないでしょう。
入れ込み数を上げるだけならば、200軒あるすべての宿泊施設が料金を半額にすれば、ひょっとしたら達成するかもしれません。でも、そんなの意味ないですよね?入れ込み数というのはそういった安売りや単発イベントで数字が調整できてしまうことも問題です。
つまり、
入れ込み数で観光客2割増を目指しても何の意味もない
のです。
国内旅行の売上における国の増加目標は 10年で5%でしかない
更にここに衝撃的な数字を紹介しますね。
首相官邸のWebサイトから出されている国としての目標数字です。
この中に観光における増加目標が示されており、外国人とともに日本人の国内旅行者数の増加目標が掲げられています。
日本人国内旅行消費額
2020 年:21 兆円
2030 年:22 兆円
となっています。10年で5%の伸びが目標です。しかも入れ込み数ではなく金額ベースで。
外国人に対しては8兆円が15兆円ですから倍近い伸び目標です。でも、国内目標は頑張って10年で5%としか目標とされていないのです。
つまり、国自体が国内旅行は
10年で5%伸びれば大成功
って言っているのです。
ここで私が言いたいこと
ここまで言い切ってしまうと、今年の町長選に向けて
現職の浜上町長を糾弾しているのか!
誰か対抗馬で出る人を支援するのか?
と言われてしまいそうですね。
私は次期町長選では、よほどすごい方が対抗馬で出馬しない限り、現職の浜上町長が当選すべきだと思っていますし、応援したいと思っています。香美町発足後、まだ2期連続で当選した町長がいません。4年ごとに町長が変わる自治体がうまくいくとは思えません。
それよりも現職の町長、議員さんたちがしっかりと世の中の向かおうとしている方向を見極め、間違いは正し、方向修正していけばいい。とにかくやってみてダメだったら変えればいいのです。今の香美町はPDCAが回せない状況になっていることが一番の問題です。
なので、私が言いたいことは2つ。
一つは目標値の修正は必要にせよ、「観光」に力を入れる、と宣言した現職の町長の考えは正しい。全力で協力しよう。「観光」に力を入れること自体は間違っていません。誰が町長になったとしても、町をよくしていくために、現職の方を精一杯応援する。これが町民の義務です。
もう一つは自分たちの”無知”を認識する。私自身、「入れ込み数」を日帰りを含めた人数で追っかけることに意味がないのを知ったのはつい最近です。2割という目標に対しても、「目標は高いほうがいい」って安直に考えていました。つまり、首長の立てた目標に対して誰もそのおかしさを指摘しなかったのですから、それは町民も同罪です。(できるわけない、とかという批判は論外、それは何もやらない人が発する言葉です)
町長だけでなく、行政も議会・議員も観光協会も、そして観光に携わる我々も勉強不足だったのです。
まずはそのことを皆で認め、情報を共有しましょう。適正かつ正しい目標を立てましょう。以前お話ししましたが、最終ゴールは生産人口を増やすこと。そのための産業を活性化させることです。
適正な数値と施策をするとすれば?
批判だけをしていても建設的ではありません。私も提言をさせていただきます。
地元高校で調理師免許の取得を
先日、観光会議において前に座っていた三七十館の社長がとても素晴らしい提案をされていました。
県立香住高校の海洋科学科シーフードコースで、
調理師免許を取れるようにすればいい。
これ、確かにそうです!私自身、海洋科学科アクアコースの非常勤講師をしているので、このことの素晴らしさ、未来における観光や人口増加、更には産業活性化に対して非常に可能性のある話だと感じています。
今、香住高校は県下唯一の海洋高校ということで、兵庫県内の優秀な若者が集まってきています。私が10代の頃の香住高校とは生徒の質、レベルが全く違います。
でも、そもそも高校で調理師免許をとることが可能でしょうか?
確認したところ兵庫県内ならば
兵庫県立淡路高等学校調理系列
神戸第一高等学校調理師コース
で既に可能です。
但馬から一番近いところだと京都府福知山市にある
福知山淑徳高等学校総合学科食物調理系列
で可能です。
※他はwikipedia「調理師養成施設」を参照下さい。
淡路高等学校は同じ兵庫県立高校ですので、私立高校でないとダメ、というわけでもないでしょう。
ということは、高校で調理師免許取得コースを作ることは物理的には可能です。調理師免許は高校卒業後、高額な調理師専門学校に入ったり、どこかで長期間の修行を行うなど、地方の若い人たちにとって地元で自宅から通いながら受講することが難しい資格です。
今の若者に”修行”の発想はありません。寿司学校に3か月通っただけの職人のお寿司屋さんがミシュランで選ばれる時代です。
(参考)
寿司学校に3ヶ月通っただけの寿司店がミシュランに。10年の下積み修行は無駄と判明
何より、都会の調理師学校に通うというのは金銭的にも時間的にも大きな負担となります。
そういえば私自身「大学受験で1年だけ浪人させてほしい」と親に頼んだ時、「もしも受験した大学全てに落ちたら大学はあきらめて、調理師学校に通い、実家の民宿を継ぐこと」という条件を出されていました。当時は民宿を継ぐのだけは絶対に嫌と、猛勉強をした自分を思い出しました(苦笑)。
香美町の皆さん、今年の選挙に関心のある方へ
今年、町長選、町議会議員選挙に出られる方はぜひこれをマニフェストに掲げて欲しい。200軒近い宿泊施設があっても、その半数以上が高齢化で10年後どれだけ残っているかわかりません。自分たちの子供、孫が調理師の資格を持ってくれていたら・・・。そう思っている民宿経営者も多いはず。あるいは食材はたくさんあるのですから、起業チャンスは数多くあるはずです。
香美町は但馬牛と松葉ガニというA級食材の宝庫。入れ込み数を追っかけるのではなく一人当たりの単価を上げ、消費額を上げる目標とした方が現実的です。今、カニの高騰が問題になっていますが、香美町の場合、ベニズワイガニもあるので、カニがなくなる、という心配はありません。むしろ、ベニズワイガニもブランド化させるチャンス、それにより消費単価を上げるチャンスです。
そのための労働人口を確保する。山田桂一郎先生も「観光立国の正体」の中で
『観光というのは、いい意味で手間ひまがかかる産業です。流行れば流行るほど人出が必要になる。産業として直接雇用に結びつくのがメリットです。また、外貨獲得と地域内のキャッシュフローを活発化させるのにも効果的です。』 #観光立国の正体 #共感したこと
— 今井ひろこ@地方の宿と店を元気にしたい! (@Imai_Hiroko) 2016年12月28日
と言われています。
つまり、観光、特に宿泊産業が流行れば、人手が必要となり、若い人の働き口ができる。そんな若い人たちが即戦力で働けるように地元の高校からバックアップする。
消費金額目標を年1%アップぐらいの目標で良いのです。(それでも町長の在任期間4年で4%、国の目標の倍も伸びます!)それ以上に、人口減少に歯止めがかかれば。若い人たちの雇用創出ができれば。
いかがですか?既に豊かな自然とA級食材を持っている香美町ならば可能です。しかも、香美町は但馬で唯一エクスマセミナーを開催した町。但馬のエクスマ塾生5名中4名が香美町民です。
地域活性化にエクスマを活用できる人材も増えてきています。現在、この4人がやっているブログやSNSでの発信の影響力も大きくなってきています。
(参考)
かなりのアクセス数を稼いでいる4人のブログ・民宿かどや公式ブログ(エクスマ52期ガク)
・介護タクシーを開業したい方を応援する『さくら搬送サービス』公式サイト(エクスマ69期バルーン)
・たなちく嫁の牛飼い日記(エクスマ77期モー子)
・但馬牛の繁殖から放牧牛肉まで「田中畜産の牛飼い記録」(エクスマ81期カズマ)
2014年の時点で
香美町は町長がなにをしたいかわからないし、情報発信をする町民もいない
と指摘されている厳しいブログ記事もありました。
今はそんなことなくなってきていますよね。政治に無関係の上記4人でもSNSで発信し、香美町の、但馬のすばらしさを発信しています。上記4人以外でもブログやSNSで発信している人は増えました。民間情報発信力の面でも香美町の未来、明るいと思うんです♪
山田桂一郎先生が講演で言われていたのは、今観光で伸びている地域は元々何もなかったところ。温泉や食材というキラーコンテンツで昔から栄えていたところほど落ち込みが激しいそうです。自動思考で新しいアイデアを生み出す、現状を変えようとする発想が生まれにくいからなのですね。
香美町はスキー場、海水浴場、温泉、カニ、但馬牛とキラーコンテンツがありすぎるからこそ、そこに頼り切ってしまい新たな発想ができなくなってしまう。スター選手頼みの野球チーム、サッカークラブのようです。その選手がケガで離脱したら終わりです。
選挙のある今年。香美町の未来についてキラーコンテンツや他人依存することなく、自分事としてしっかり考えていきましょう。そのために普段政治には興味ないし、政治の話をブログに書くのはタブーと認識している私ですが、今日は年初から刺激的な内容をお話をいたしました。
コムサポートオフィス代表
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