コロナ禍、緊急事態宣言時に私が速い段階で宿の休館を決めた理由

宿泊施設の集客

私の地域でも遂に観光協会からゴールデンウイークの営業自粛のお願い通達が来ました。


営業自粛の通達

新聞でも紹介されました。


日本海新聞4/23朝刊にも

事実上、5月6日までほとんどの宿泊施設が休館となります。宿をやっていると、この判断は苦渋の選択となります。私はかなり速い段階で休館の判断を下したのですが、今後も延長の可能性のあることですので、私の判断基準のお話をしたいと思います。参考にしていただければ。

 

おはようございます!普段は民宿の経営者兼看板親父♪
コムサポートオフィス副代表のガク(@kasumi_kadoya)です!

まず、私は段階的に判断していきました。4月に入った当初、まずは5月6日までのWeb予約をストップさせました。すでにご予約をいただいているお客様のみで対応することにしたのです。

ただ、4月7日に7都道府県に緊急事態宣言が出された時、4月28日までの休館を決め、その日までにご予約いただいているお客様にはキャンセルの連絡をさせていただきました。

4月16日に緊急事態宣言が全国に広げられた時、5月6日までの延長を決めました。ただし、4月初めから新しい予約は取っていませんでしたので、この時点でキャンセルをお願いするお客様は5組のみでした。

さて、そして4月23日現在、5月15日までの予約をストップしています。緊急事態宣言の延長の発表は5月6日ギリギリになりそうです。


4/23現在延長議論はまだ行われていない

5月中旬まで、5月末まで、6月末まで、様々な憶測がありそうですが、4月上旬の時点で東京医師会が「6週間の自粛を」と呼びかけていましたので、それに照らし合わせると5月中旬まで。感染者の伸びが予想以上に高いようであれば、5月末や6月という線もあるのかな、と感じています。

(あくまで緊急事態宣言の延長期間の話であって、収束予測ではありません)

私が早々に休館を決めた5つの理由

休館の判断は簡単に決められるものでもありません。既に頂いている予約に対しては、1件1件キャンセルのお願いもしなければなりません。そんな様々な対応も踏まえ、最終的に私が休館を決めた理由、ピックアップしてみると5つありました。

1.現時点で非感染地域であることによるリスク

私自身、緊急事態宣言が解除されたら宿の営業は再開する、という目安は持っています。ただし、私の住む兵庫県北部地方は未だ感染者を出していない地域でもあります。

実は、これが怖い。感染者がいないということは、地域で一番最初に感染者を出した事業者になってしまうリスクがあるということです。

悲しい哉、田舎で感染者を出してしまったら100%どこが出したか特定されます。特定された場合、どうなるか。その地で商売ができなくなるか、住めなくなる可能性だってあります。

以下のようなことが各地で起こっています。

感染者の家に投石や落書き 首長ら「差別許されない」:朝日新聞デジタル
新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、三重県内で感染が確認された市民の家に石が投げ込まれてガラスが割られたり、壁に落書...

自分たちの地域はこんな酷いことは起こらない、と思いたいですが、こればかりはわかりません。このリスクを背負ってまでオープンすることはできないと感じています。

非感染地域だから大丈夫、ではありません。特に感染は拡大傾向にあるわけです。「他人事」として対処するのが一番危険だと思っています。

2.地方への移動を禁止されている時期に販売するリスク

今回の緊急事態宣言では「地方への移動を厳に控える」よう通達が出されました。宣言が全国へとなった時は、帰省も控えるように、とより厳しい文言も加えられました。

正直、それを無視して来られるお客様の危機意識ってヤバくないか?こちらがどれだけ安全対策、ウイルス対策をしていても、お客様側に危機意識がないとリスクは回避できません。こんな時期に宿を開けた場合、リスクに対して慎重に慎重を重ねたお客様が来るのか。リスクに無頓着なお客様が来るのか。

正直、以下のような記事

神戸新聞NEXT|総合|県内パチンコ店2割弱が営業継続 感染リスク増の懸念
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、兵庫県による休業要請の対象になった県内のパチンコ・パチスロ店の2割近くが営業を続けて...

を見てしまうと、リスクに無頓着なお客様をこちらから求めてしまう結果になってしまうのではないかと感じています。

安売りをすれば安いのが好きなお客様を集客してしまいます。リスク覚悟で販売をすれば、リスクに無頓着なお客様を集めてしまうことになります。

3.自粛期間中に販売していることで常連様の信用を失いたくない

そして、最後に最も懸念する件。今回、せっかくご予約いただいているのにキャンセル願いのご連絡をさせていただいたお客様がたくさんありました。その中には常連さんも。その際、

「楽しみにしていましたが残念です。でも、正しい判断だと思います。また、行かせていただきます」

と言っていただけました。「正しい判断だと思います」とおっしゃって頂いたお客様があることは、とても大切なことだと思っています。お客様には、特に常連のお客様には「正しい判断をする宿」と思っていてもらえること、とても大切だと実感しました。逆を言えば、「こんな時も販売している宿」って思われるのは避けたい、とも思いました。

4.早めに判断して、資金繰りを考える時間に当てた方が良い

幸いにも今回のコロナ禍に対し、様々な給付金や低金利での借入れが準備されるようです。現時点で確認したところ、2、3ヶ月はキャッシュは大丈夫そう。でも、それ以上長引くようだと借入れが必要になるかもしれない。自粛でお客様が動かない時期に無理に販売をして評判が悪くなるよりも、ビシッと休館にして、資金繰り計画を立てる、借りるべきとなったら借りる、と判断した方が良いのではないか。

そもそも、資金繰りが厳しいのであればそれは現時点でのやり方が間違っているということ。今回のタイミングでの休止はそれを見直すきっかけにもなる。月々の返済額や金利を見直し、再開後はキャッシュフローが楽な状態に持っていくこと。もちろん、新たなプランを考えたり、これまで以外の収益手段も考える。これらを考える時間をたっぷりとった方が、実は今後の生活が楽になるのではないかと考えました。

5.緊急事態宣言が長引いた時、どう対処していくか考えておく

5月6日までならば、1ヶ月ほど。これが5月末、6月末ともなってくれば、3ヶ月近い休業となります。ただ、幸いなことにゴールデンウイークの休業は痛かったですが、6月梅雨に入れば1年の中で最も閑散期です。そもそも旅館業の場合、頑張っても売上の少ない時期です。じゃあ、これで夏休みも潰れたらどうする?9月の4連休も潰れたら?11月からの松葉ガニシーズンにも影響が出たら?

その場合は、どこかのタイミングで営業を再開しなければなりません。例えば私の場合、11月からの松葉ガニシーズン以降はどんなことがあっても営業は再開する、と決めています。当地域ではそこの繁忙期こそが生命線ですから。では、そこでこれまで通りの営業をするのか。当然ながら受け入れ人数はこれまでの半数にする、あるいは客室は8室のうち4室しか使わず、日替わりで利用部屋のローテーションを行う、食事も個室提供、お風呂も時間制にして他人同士が入らないようにする、といった細かいルール作りをしていくことになると思います。

それらの安全対策案を今から作っていき、少人数の受け入れから段階的に再開していくことになると思います。

休館にしたら休館。再開したら今まで通りの受け入れで再開、と考えていませんか?私は段階的再開、受け入れ規模を縮小し、徐々に戻していくことになると考えています。これは大型宿でも小規模宿でも同じことになると思います。

以上を総括すると、自粛期間中、特に非常事態宣言中に販売するのにほとんどメリットがないどころか、リスクが高すぎると判断しました。休業中にやるべきこと、再開時の段取り等、考えておくこと、やっておくことも満載です。

最終的にはお客様と地域に対する良心で決めること

これから先、休館をやめるか延長か、悩むことが何度か訪れることになりそうです。どうやって判断するか。


宣言が延長される度、悩むことに

私は「今、自分は正しい判断をできているかどうか」を知る目安として

1年後、2年後に振り返った時、その行動をどう感じるか

をイメージするようにしています。

例えば今回、ゴールデンウイークを休館にした。この判断を1年後の自分が思い返してどう感じるか。

その判断は正しかった、間違っていたという結果は出ているかもしれません。

「休館した」という判断に対して

A)感染が広がっていて、もしもゴールデンウイークに営業していたら多数の感染者を出していたかもしれない。休館してよかった。

B)感染は大して広がらず、もしもゴールデンウイークに営業していても、感染者は出ていなかった可能性が高い。休館しなくてもよかった。

しかし、正しい、間違っているの選択肢はこの2つしかないのか。B)の判断に対して再度考えてみて下さい。今現在は自分の宿の立場としての判断のみです。ここにお客様視点、地域視点を加えて考えた場合、

C)感染は大して広がらず、もしもゴールデンウイークに営業していても、感染者は出ていなかった可能性が高い。でも、お客様や地域の安全第一で判断を下した自分の行動は正しかった。

という答えも導き出せると思います。その時点でのそろばん勘定で決めてしまうとA)かB)しか選択肢がありませんが、1、2年後の自分が振り返ることをイメージした時、C)の選択肢も生まれてくるはずです。しかも、C)を言える段階になっていれば、ピンチは脱しており、むしろ誠実な判断をしたことがプラスに好転するきっかけを作っているはずです。

迷ったらお客様や地域に対する良心で判断する。

良心を元に行った判断に後悔はありません。休館をやめるか延長か、悩んだ時にはこの考え方を行なって下さい。選択肢は「休館」しかない、という意味ではありません。5)でお話しした通り、徹底的に安全管理を考え抜いた上で再開する、という選択肢もあるのです。

自分のところは大丈夫、という根拠なき判断ではなく、ここまで安全管理をして再開するのでよろしくお願いします、だったら良いと思います。(但し、その場合でも非常事態宣言は解除されていること前提ですが)

以上、私が休館とするに至った経緯と、再開するまでに考えている頭の中を言語化してみました。誰かの参考になれば幸いです。

オマケで、、、

コロナ収束後の宿泊業界、特に旅館や民宿ってどうなるのだろう、というのを昨日夫婦で語り合った動画をアップしました。ご参考まで。興味のある方は是非ご覧下さい。

*******************************************************

メルマガでも骨太コンテンツ配信中♪


メルマガサンプル、ぜひお読み下さい!
※上記画像をクリックすれば
サンプルリストのページへ飛びます

2,3日に1回配信しています

無料のコムサポメルマガ登録はこちらです!

10室以下の小規模宿泊施設様向けに特化した無料メルマガはこちらです!
(コムサポメルマガとは別になります)

小さなお宿向け集客メール講座【全7回・無料】

登録はこちらです!

コムサポートオフィスYou Tubeチャンネル、スタート!
https://www.youtube.com/channel/UC2eEJ-TWBDKQcowEqOFg8pw

リニューアルした公式サイト、ぜひご覧ください!!


https://www.com-support-co.jp/

 

 

コムサポートブログを書いている人
コムサポートオフィス 今井ひろこ/今井学

私たち夫婦は、兵庫県の日本海側・豊岡市を本拠地に、全国の小さなお宿やお店の集客問題の解決に取り組んでいるコンサルティング事務所「コムサポートオフィス」を運営しています。私たちが実践して培ったノウハウや日々の実践例を、この公式ブログでお伝えしています。なお、ブログネタは宿泊施設の集客などに限らず、一般の事業者向けのものも多いです。

コムサポートオフィス 今井ひろこ/今井学をフォローする
宿泊施設の集客
コムサポートオフィス 今井ひろこ/今井学をフォローする
タイトルとURLをコピーしました