AIでなくなる職業が出てくる。
この話を耳にする都度思い出す本があります。
以前、書評も書いています。
AIによってなくなる仕事は出てくるでしょう。特に「仕事=作業」って定義で考えるとその通りです。単純判断はAIに任せておけば良い。でも、所詮AIはYES/NOの2択の組み合わせを複雑なレベルまでしているだけ。なのでシンギュラリティ(AIが人間の能力を超える)ことはないし、組み合わせ精度を高めて人間っぽい判断はできても、人間と同じ感情を持つAIを作る技術はまだ当分先どころか発見・発明もされていないです。
人間の感情の機微を大切にすべき宿泊業、特に人との対面コミュニケーションを大切にする民宿やペンション、ゲストハウスにおいて、AIが導入されるのはまだもう少し先なんじゃないかなーと考えています。
そんな中で、AIの中でも最近注目されているチャットボット(Chatbot)について私なりの意見を述べたいと思います。
おはようございます!普段は民宿の経営者兼看板親父♪
コムサポートオフィス副代表のガク(@kasumi_kadoya)です!
チャットボットは導入した方が良いの?
2年前、じゃらんnetが宿泊施設向けに、AIを活用したチャット形式の問い合わせ対応サービス「トリップAIコンシェルジュ」をリリースし、月額利用での販売を始めたことがありました。
この時、「これって導入すべきですかね?」と、何人かの方に聞かれたことがあります。最近ではじゃらんnet以外でもホテル向けのチャット形式の問い合わせ対応サービス、いわゆる「チャットボット(Chatbot)」を販売している業者さんが増えてきました。
さて、これって宿泊施設にとって導入すべきシステムでしょうか。
Webにおいては比較的様々なツールのアーリーアダプターである私ですが、チャットボットに関してはこれは導入しない、する必要がないな、と即時に判断しました。
性能的な面での判断ではありません。おそらくAIはどんどん進化していくでしょうから、現時点では的を外れた回答が多くても、近い将来かなり精度の高い返答をしてくれるようになってくると思います。
それでも私がチャットボット導入に消極的な3つの理由があります。
導入しない理由1)お客様との接触面積を減らして良いのか?
まず最初に申し上げておきますが、私は100%チャットボットを否定しているわけではありません。例えば単価は安いが収容定員の多い宿、ビジネスホテルさんなどはオススメと思います。問い合わせを削減させることでスタッフの働き方改革にも寄与します。
その究極が以前宿泊した
「変なホテル」ですね
ただ、私のところのような民宿がメールや電話のやりとりをチャットボットや自動音声で対応してしまうというのはどうなのでしょう。
もちろん、宿の規模が小さくても電話やメールでの問い合わせが少ないわけではありません。お掃除から食事の用意、何から何まで家族でしないといけない小規模宿泊施設にとって、これらの事前対応は負担になっている宿も多いでしょう。
私自身、目の前のお客様の対応をしている時は電話をとりません。調理場で手が離せない場合も同様です。
「電話に出なかったら時間をおいて、またかけてきて下さいね」
というスタンスです。それでもチャットボットのようなシステムを入れないのは、例え電話やメールであっても「直接お客様のご相談に乗るのが小さな宿の価値」と感じているからです。
ましてや宿の規模が小さいほど「対応者=オーナーかその家族」である場合が多い。最近「旅なか」だけでなく「旅まえ」も重要、と言われています。旅行者にとっての旅行は、旅を計画する時点から始まっていて、相談した時の宿の対応者の感じの良し悪しが宿を決める理由になっている方も多いです。
少なくとも、ビジネス旅行ではなくレジャー旅行をされているお客様には、ロボットではなく人が対応することが「旅まえ」のお客様に接する小さな宿としての心構えとして大切なんじゃないかなと思うのです。
ビジネスホテルさんに限らず、大型ホテルや旅館さんは働き方改革、フロントスタッフの工数削減のために導入されている事例も出てきています。その場合、我々小規模宿泊施設もそれに追従すべきでしょうか。
家族経営で、お客様はいつきても同じ顔の人が接客する小規模宿泊施設では、効率化によるメリットよりも、顔の見えるコミュニケーションこそが手間暇かけた価値になるのではないか。むしろ、チャットボットが普及すればするほど入れていないことが価値になってくるのでは、と感じています。
導入しない理由2)お客様は本当にチャットボットを使うのか?
私の宿の場合、かなりマニアックなことで知りたいことを、直接問い合わせずともブログ内検索やクチコミ内検索で解決することができます。
例えば、「クレジットカード」で検索すれば実際にクレジットカードを使ったお客様の声が出てくる=それにより、利用可能なことがわかる。
例えば、「飲料の持ち込みは可能か」とか「食べ放題」や「飲み放題」はあるのか、と言った疑問にも3千記事近くあるブログの中から答えとなる記事を見つけることができます。
えっ?!そんなマニアックな検索する人なんて、滅多にいないよ!!
おっしゃる通りです。世の中がこのような検索のできる方ばかりならば、チャットボットのニーズはないでしょう。じゃあ、ネットリテラシーの低い人がチャットボットを使うのか?違いますよね。ネットリテラシーが低い人は、メールですら質問できません。おそらく電話で問い合わせてくるでしょう。今やPCよりもスマホで確認している人が多いのです。「わからなければ電話で聞く」人は増えています。つまり、チャットボットの精度がよほど高くならない限り、ネットリテラシーの高い人はチャットボットを使わなくても調べることが可能。低い人はそもそも使わない。中間層はチャットボットの精度が上がるまで当面は使わない。それならば宿側はQ&Aのコーナーを充実させた方が良い。
つまり、よほど一般化されなければチャットボットのニーズは低いというのが私の現時点での考えです。
導入しない理由3)月額1万円以上かかるのは適正価格?
最後に導入しない3つ目の理由。相場を見るとチャットボットは大体月額2、3万円ぐらいです。じゃらんのAIコンシェルジュは50室以下の宿なら月額1万円。但し、多国語対応にする場合はまた別途料金がかかります。この料金が適正かどうか。
100室の宿が月3万円で導入。8室の宿が月1万円で導入。フロント対応に変わるツールであり、人件費で考えると安いもの。そう言われそうですが、小さな宿ほど負担の割合は高いです。先述したように、もっと回答精度が上がり、チャットボットを使うことが一般化すれば導入の検討も必要ですが、費用対効果としてそれほどあるのかは微妙なところです。
ただ、それ以上に感じたのはこのチャットボット、システムとしては月額数千円が相場なんじゃないかなって直感的に感じました。
そもそも日本のこの手のシステムは異常に高い。例えば会議システムというと月額1万円以上が普通でした。そこにZOOMが海外から日本語対応で入ってきて一気に価格が下がりました。
チャットボットも小さな規模で利用する場合、本来の相場って月額2千円ぐらいなのではないか。そんな風に感じました。そう思って色々調べてみると、こんなサービスを発見。
これ、LINEをメインに活用するので、むしろWebサービスとしてのチャットボットよりも使われるかもしれません。しかも、応答数が月1000回までは無料、1万回で月1万円です。
小規模零細事業者の場合、普及して安価になってから参入しても良いし、試してみるだけならLINE公式と絡めて無料で始められます。
チャットボット自体を否定していません!
以上、私が自分の宿にチャットボットを導入しない理由をまとめてみました。現時点での精度の面でもコスト面でも魅力的ではない、ということと、小さな宿だからこそAIじゃなく人が対応することを強みとしていきたい、という思いです。
ただ状況次第では、オススメする場合もありますし、今後普及し、あることが当たり前になってきたら検討します。お試しでするのであれば、無料のParotからスタートしていくと思います。
今年はLINE公式にも力を入れていきたいので、ひょっとしたらその流れで運用してみるかも・・・とはいえ、優先順位としてGoogleのクチコミ対応やブログの日々更新が自分にとっての宿のWeb集客の最優先事項ですので、引き続きこれらを優先させていきます。その上で構築する余裕があればやってみて、実際どうだったかはフィードバックしたいと思います。
チャットボットを勧められて、迷っている方があれば参考まで。
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